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生きる LIVINGのhayatoのレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
3.9
【生きるとは何か・・・】

○私はいつも仕事をこなすだけだった
●でも死と向き合って気づいたのだ
◇生きるとは他人の中で見つかること
◆それを気づかせてくれた

★名台詞
☆ウィリアム『I'm Mr.Zombie. I like it.』
(私はゾンビって呼ばれてたのか。気に入った。)

役所で堅物のイメージだった自分がこの女性のおかげで何かを取り戻せた。

★評価
《脚本》◎
《演技》◎
《音楽》○
《撮影》◎
《衣装》○
《芸術》○

★感情移入
《泣》-
《感動》◎
《笑い》-
《ハラハラ度》-

★ホラー項目
狂気度-/10
グロさ-/10
ドキドキ度 -/10

★全体感想
カズオ・イシグロ✖️黒澤明
今までチェックしてなかった作品。
そんな最強タッグ見るしかない!
と思って見たんだけど、めっちゃ良かった・・・

これは自分が50代になった時にもう一度見たい映画だわ👀🍿*゜
生きるとは何かを気づかせてくれる。

ビル・ナイはクリント・イーストウッドと並んで素晴らしく良いおじいちゃん俳優だなぁ。
ディビィ・ジョーンズの時も上手く演じていたけど、もう演じている姿を観るだけで涙が流れてくる。

ストーリーは淡々と静かに進むのが、何だか小説を読んでいるような感覚であり、ゆったりと進んでいく展開に苦手な人も居るかもしれない。
ただ、ビル・ナイ演じるウィリアムが徐々に人生を生きようと思うようになっていくのがとっても良かった。
今までもこういった死に向かっていく時にどうやって過ごすべきなのかを題材にした映画を見てきたけど、どれも違うのと黒澤明監督の社会へ向けた「生きる」の映画よりも好きだった。

自分だけの人生でなく、他者を変えていく。
この映画はそんな心を動かすパワーをもっていた。
自分の人生を当たり前のように過ごすのでなく何かをやり遂げて死ねるようなそんな人生を過ごしたい。

★印象に残ったシーン
・家で一人でいる時に息子夫婦が帰ってきたシーン
・ウィリアム豪遊
・元部下の女性との絡み
・列車での会話
・最期

★息子夫婦との距離
この映画を見て、なかなか気づけなかった箇所は家族愛なところかもしれない。
家でも孤独だった父と息子夫婦の微妙なすれ違いの感覚。

もっと息子と向き合っていればこんな事にはならなかったのかと思うけど、やっぱり自分が小さな事をやりとげて幼い時に出来なかった事をみんなにも味あわせてあげたい。

不器用だけど息子に心配させたくないが為の行動をしていたのが何だか切なくて悲しかった。

もし、自分の老い先短い命だと知ったら娘に伝えることが出来るのだろうか。
やっぱり悲しませたくないから伝えるのは躊躇してしまうだろうな。

★時折かかる音楽の旋律とビル・ナイ

哀愁漂う旋律がこの映画を引き立てている。
命と向き合っている時は、哀しいジャズのような曲を、人生を謳歌している時は明るい曲を使い分けており、最後のブランコのシーンでは感動してしまった。

黒澤明監督も天国でこの作品を拍手して観ているのだろう。
74歳にしてビル・ケイはウィリアムという生と死と向かい合った役を見事に演じていた。
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