群青

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスの群青のレビュー・感想・評価

3.3
2023年劇場鑑賞2作目。


去年の全米公開の感想からすでに高い評価を得ており、その勢いそのままアカデミー賞まで取ってしまった作品。

インディ・ジョーンズ魔宮の伝説などの子役で人気だったがその後、役に恵まれず俳優を引退していたキー・ホイ・クァンが今作でアカデミー助演助演男優賞を受賞。
プレゼンターだったハリソン・フォード(作品賞だけど)と抱き合い、それをスピルバーグが客席から見ていた、という美しいシーンがあったのが印象的だった。

何より、元々ジャッキー・チェン主演で進んでいたのがミシェル・ヨーになり、それが作品の肝になって主演女優賞も受賞。
誰にも『あなたは人生の盛りを過ぎた』なんて言わせてはいけません。絶対に諦めないで、と名言を残したのカッコ良すぎる…


という話題に絶えない作品。

作品としてはぱっと見かなり敷居が高そうに思える。
マルチバースというSF要素がフックで、アクションがある。
え?これがアカデミー?

映像自体もかなりアグレッシブで、目まぐるしく展開が変わり、カメラワークやショットの切り替えも瞬きの如く過ぎていく。

まさにブレインウォッシュな作品だった。疲れた笑

変な行動のその変なレベルが高ければ高いほど自分から遠い異なる世界の自分に接続できるから、という理論でくだらないことをするのが面白い。
焦れば焦るほど変なことをしているその現状が笑えてくる。
でもさ、お尻に異物を入れてまで強くなりとうはない!笑


そんな敷居の高そうな作品なのだが、今作の肝は異なる世界線を繋いで強大な敵を倒すという限り無く規模がデカい話かと思いきや、それでもあなた(たち)と一緒にいるこの世界が良い、という限り無くミニマムな話に落ち着くところ。

手の指がソーセージになろうとも、生命が発生していない世界になろうともあなたを愛している、という力強いメッセージが描かれるのでちょっと涙腺も刺激される。石なのに笑

そういうギャップも含めてマルチバースなだけに今作が特異点になりそう。そんな作品だった。
群青

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