まさに作中に出てくるような「オンボロの小さな平屋」に住んいた僕自身と重なり共感できる部分があった。ノスタルジーと言うより、貧乏だった子供時代を思い出した。
1986年夏の長崎。小学生の久田(番家一路)は、ある日、貧乏でクラスの嫌われ者だった竹本(原田琥之佑)から、ブーメラン島にイルカを見に行こうという誘いを受ける。
そして久保と竹本は自転車へ2人乗りし、遠く離れた島を目指す冒険の旅に出る。といった内容。
少年期の時代を見ると完全に僕と同年代。
竹本少年がクラスメイトから、トタン張りのボロ家をバカにされるシーンがあるが、まさにあれを実体験として経験している。
着ている服のほとんどは、親戚からもらった服。
(しかも同じ世代とは思えない服)
夏はタンクトップ(なんならグンゼの下着)、半ズボン(冬でも一年中)、ここも竹本少年と被る。笑
クラスのみんながアディダスやアシックスのスポーツシューズを履いている中、外履きは「学校の白い上履き」。
(しかも学校指定と違う見たこともないデザイン)
お小遣いは月300〜500円程度。バス賃も電車賃もないから、みんなと遠くに遊びにはいけない。当時大流行していたゲームウィッチもゲームボーイもファミコンも当然家に無かった。
お金がかかる遊びは一切できないので、友達はできにくかった。
ただ、自分で言うのもなんだが、それをバネにしてか性格は明るかった。
大人になったいまも明るく、周りの人をよく笑わせる人間。
タイプは少し違うが、ここら辺の強さもまた竹本と同じなのかな?
というわけで自転車が主な移動手段だったので、久保と竹本2人が遠くへ冒険するのはワクワク。
小学生にとって遠方でのパンクは致命的。その絶望感や2人乗りで急坂をくだる楽しさなど、親近感があった。
久保家のように、ちょっとした夫婦喧嘩はありながらも仲が良く愛情深い両親がいる家庭は羨ましい。
ウチの場合はいつも親父が怒鳴って、気に入らないことがあると暴力を振るっていた。
僕は親父は福岡、お袋は熊本。
親戚はみな九州人。
母親役の尾野真千子は奈良県出身だけど、標準語も関西弁も、九州弁しゃべらしても、うまかね。
父親役の竹原ピストルも優しい演技をしていた。
「AXIAのカセットテープ」は、とても懐かしい。
よくFMラジオで流れる音楽を録音していた。
作品にでてきた「メタルテープ」は音がよくて当時憧れだった。
高校生になるとアルバイトができるようになり、お金はCDなどにつぎ込み音楽に没頭した。(それが後にギター→バンドをやることにつながる)
サブスク全盛の今となっては考えられない。
今は、例え貧乏であったとしてもいい時代。
とりとめなく書いてしまった。
そうそう。
最後のセリフは、絶対あの言葉だなと思った。笑
そういえば子供の頃。
テレビの「ゴールデン洋画劇場」などを録画した映画を繰り返し繰り返し観ていた。現実逃避できる唯一とも言える癒やしだった。
それがいまの「映画好き」に大きくつながっている。
過去がどうであれ、全ては現在の自分を形成する大切な要素。
そんなことを思い出した作品だった。
お金で物事は測れないというが、そんな事はない。これは経験した人にしか絶対分からない。
数十年後の現在、子供の頃の僕が見たら絶対驚くであろう、大型スクリーンとプロジェクターのある音響設備完備のシアタールームと、ドラムや大型のギターアンプをはじめ楽器や機材がたくさん並んだ音楽室のある、完全防音の家に住むことができている。
人生捨てたものではない。