向日葵

屋根裏のラジャーの向日葵のレビュー・感想・評価

屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)
4.8
私はイマジナリーな友だちの存在を少しばかりですが覚えている人間で、母に言われて思い出した人間なので必ず観たく公開日に行ってきました。


結果大号泣。


悲しみや孤独さ、不安といったネガティブとされる要素が自分と手を取る友だちを作り出す。それは自分にしか見えないかもしれないけれどその友だちや世界は、私たちの事を救い、何があっても味方だよと思ってくれている。(そう思うように作られた場合が多いから)

そんなもう1つの世界に助けられながら悲しいことを受け入れることを学んでいき、繰り返して大人になった時、
気付いたら友だちは消えている、
気が付いたら思い出せない存在になっている。



本当に消えたのか。
本当に消えてしまったのか。



この作品はそんな私たちを支えてくれていたかもしれないイマジナリーという命側の世界を映した作品です。



何を信じるか、何を信じたいのか、
"嘘か本当かは関係ない、信じたいと思ったことならそれは信じるに値することだ。"

周りが嘘だと言っても、自分が信じたもの、自分が生きてきた君と過した日々は現実だから。私たちが想像した世界は今もまだ生きている。


どこか見えない場所で、私が忘れた記憶を抱え続けている別れた誰かが、今でもまだ私の"幸せ"を願ってくれているのかもしれない。現実の中で誰かと別れた経験がある人なら必ず1人じゃないと思い出させてくれる。
どこかで生きている大切な友だち。



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映画では美しくスケールのある映像を体験できるが同時に多くある故、繊細な描写を見逃してしまいがちな作品だと思う。登場人物の表情、イマジナリが齎す意味等、映画を観る前に原作を読むと表現されたイマジナリーのスクリーンの世界が広がるのでおすすめ。

周囲の話を聞いていると悪者とされるMrバンティングに寄り添うイマジナリの女の子の意味を深く理解出来たか出来なかったかが鍵🗝となる気がしている。
向日葵

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