Jun55

83(原題)のJun55のレビュー・感想・評価

83(原題)(2021年製作の映画)
3.7
Under dogと言われていたインドが1983年のクリケットWorld Cupでの初優勝をテーマにしたドラマ。
インドにおける伝説的なクリケットプレイヤーで、当時の主将カピル・デヴを主人公とし、それをランヴィール・シンが演じる。

スポーツをテーマにした映画としては、人間ドラマよりも、よりクリケットの試合にフォーカスしているように思われた。
ドキュメンタリータッチをより意識したのだろうか。
インド映画では珍しくないが、2時間40分の長さをフルに生かし、World Cupの全試合を取り上げる。
その効果はあり、一戦一戦、盛り上がっていく様子が手に取るように分かり、その臨場感を体験できる。(英国の会場、インド国内共に)

ただ、それが故にか、ドラマ性のところでは、インパクトが弱い。
例えば、当時もインドは宗教、地域紛争があり、スポーツがインドを統一する、というメッセージが描かれているのだが、ストーリーへのインパクトはない。

ランヴィール・シンの演技は、やはり一流。
ただ、ディーピカの存在は必要?(残念)

クリケットの知識を持っていた方が楽しめるし、何よりも、この映画はインド人の愛国心を呼び起こす意図があるのだろうから、その点は、日本人であれば、感じ方も変わってくるのはやむを得ないのだろう。
(愛国心を意識した映画は、昨今のボリウッド映画の傾向でもあるが、個人的には、芸術性という観点からはプラスに働いているとは思えない。面白味を失っている)
同じ観点でいえば、この映画を観ることで、クリケット、インドのスポーツ史を学ぶことができるだろうし、インド人と親しくなる上では、観ておくべき(知るべき)映画といえる。
Jun55

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