どど丼

DAU. NORA MOTHER(原題)のどど丼のレビュー・感想・評価

DAU. NORA MOTHER(原題)(2020年製作の映画)
3.9
DAU.母の愛

今回の主人公は「DAU.退行」にも登場したダウの妻・ノラと、ノラのお母様・リディア。タイトルに名前を冠しといて「退行」では半身不随で顔見せレベルだったDAU(ダウ)の元気な姿や、強烈なオタクルックで被験者にバカにされまくってたデニス君の少年時代も垣間見れて何より。

珍しく面白かった。多忙で不倫しまくり夫の元で家事と育児をこなすノラに、突如呼び寄せられたお母様が諭しまくる。

……これが宗教のセラピーかよと言わんばかりの諭しっぷり。お母様が「本当に夫(もしくは自身)を愛しているか」と問い、ノラが「愛していない」と答えると「本当か?」と問い立てる。ノラが「愛している」と答えるとお母様は「愛していないだろう」と返す。この一見訳の分からない押し問答が繰り返される事で、ノラの感情が次第に剥き出しになり、彼女が見失っていたアイデンティティを取り戻していく。二人の演技合戦に見入ってしまう90分弱。会話劇としてもフェミニズム作品としても、本作は一見の価値アリ。

必ずしもソ連の画一的な社会構造だけを描く訳ではないDAUシリーズの世界観の広さに感心する。ワインペロペロしてた犬、大丈夫だろうか。
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