だいごろー

親不孝通りのだいごろーのレビュー・感想・評価

親不孝通り(1958年製作の映画)
4.4
@新文芸坐

増村作品の中でもかなり好きかもしれん。
姉を孕ませた挙句捨てた船越英二に復讐するため、その妹の野添ひとみに近づいて同じことをするというあらすじで、いくらでもドロドロな話にできそうなのにこんな映画にするの!?という驚きがあった。
犯されたすすき畑で鮮やかに立場を逆転させる野添ひとみがすごすぎるし、そこから周囲に影響を及ぼしつつ、なんだかんだ女性の強かさを讃える話にする脚本が異常。今じゃ絶対アウトだろうな。僕はそれも含めて、作品のもつエネルギーにめちゃくちゃ元気もらえた。
あと山小屋での女子学生達の尋常じゃないセリフ量の会話の応酬、テンポの良さも増村っぽくて大好き。

ラストも最高で、主演の2人の友人というモブキャラたちが一斉にビールを飲み干し、夜の街に繰り出していく。親不孝通りを歩く彼らからカメラが上にパンしていくとそこにはメリークリスマスの文字が。なんて素敵なクリスマス映画なんだ!ってところで終わるのがまた最高。