みーちゃん

シンシナティ・キッドのみーちゃんのレビュー・感想・評価

シンシナティ・キッド(1965年製作の映画)
4.0
オープニングがとても良い。
スティーブ・マックイーンを見たいと思って観たら、映画が始まると同時にいきなり登場するので思わず吹き出してしまった。まだ心の準備ができていないのに、出し抜けにMAXかっこいいから笑っちゃう。
(そして止めたり戻したり、しばし見惚れる)

しかも真正面ではなく、歩く姿を斜め前から捉えたショット。その佇まいが、オーラ全開なのに何とも言えない肩の力の抜き加減で、ニューオーリンズの街並みにぴったり。グレーの曇り空、決して綺麗とは言えない建物や塀のくすんだ背景に、マックイーンの髪や瞳、微妙なカラーとデザインのブルゾンがマッチして、存在感は華やかなのに街に溶け込んでる。

そして、このシーンを"たまたま出くわしたジャズ葬"にしたセンスが秀逸。ブラスバンドの音楽もずっと耳に残る。

本筋であるスタッド・ポーカーとは別に、彼を取り巻く二人の女性像は時代錯誤も甚しいが(どちらも立ち去れ!と心の中で何度も叫んだ)、全く違う対等な立場として、女性ディーラーのレディ・フィンガーズを投入したので救われた。また、親友シューターを演じたカール・マルデンは、彼にしか出せない独特の味わいがある。

問題のラスト。何だかモヤモヤしたので調べたら、公開当時のバージョンは違うと知り、YouTubeで比較動画を見た。私は現在配信されているバージョンより、公開当時の方が好き。エンドロールに流れるレイ・チャールズの曲とも、その方が合っていると思う。

※先日観た"オープニングナイト"で脚本家サラを演じたジョーン・ブロンデルが女性ディーラー役だったので、その偶然が楽しかった。