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Scalpel/False Face(原題)のhorahukiのレビュー・感想・評価

Scalpel/False Face(原題)(1977年製作の映画)
3.9
本物 vs 偽物!

「全財産は孫娘ヘザーに!」との遺言を残して亡くなった爺。娘婿の主人公は生前から嫌われていて取り分ゼロ。しかも肝心のヘザーは行方不明…😱主人公は整形外科医の技術を駆使して、顔面崩壊状態で発見された女性をヘザーそっくりに整形!主人公&偽ヘザーの遺産総取り作戦は成功するのか?

景気良いスプラッター『Blood Rage』のジョングリスマー監督デビュー作。本作はスプラッター描写はないながらも、純粋に先が気になるスリリングかつコミカルな展開が楽しい!たった2作しか監督しなかったのがほんと勿体無い…😭

爺の娘(主人公の妻)は既に亡くなっていて、ヘザーは主人公と亡き妻の間の娘。実は妻を殺したのは主人公で、ヘザーの失踪の原因(ヘザーの彼氏を殺害…)を作ったのも主人公。完全にただのカス親父!!😂奥様を殺した時なんて、溺れてる奥様を横目にルンルン気分でアヒルボート漕いでたし😱

そんで大金で釣って協力させた偽ヘザーに親族情報を全部記憶させ親族お披露目会へ。でもコピーできなかったのはヘザーの達人クラスのピアノの腕前…。それがハラハラなサスペンスを生み出し、更にはこのタイミングで本物ヘザーが帰ってくる!主人公、ヘザー、偽ヘザーの三者が互いに思惑を隠した状態で上辺だけの会話をするヒリヒリした共同生活が堪らない!

『Blood Rage』は双子の兄弟、本作では整形により同じ顔になった2人の女性。ドッペルゲンガー的存在による場所の奪い合いを反復しているところを見ると好きな題材なんでしょうね。しかも両作とも作中における「本物」は同種の場所に閉じ込められており、「偽物」が好き放題暴れ回っている。本作は客観的に見るとペルソナ的意味合いはなさそうに見えるのだけど、主人公の主観のフィルターを通して見れば、欲望の擬似対象として実体化させた別人格と見ることもできる。

そしてその主観の混濁を決定づけるようなクライマックスの虚と実を細かくカットで切り替えていく演出がサイコーに良かった!ほんと2作しか撮ってないの勿体ない…😓
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