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ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズのRockoのレビュー・感想・評価

4.6
『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』『スナッチ』『リボルバー』以来、16年ぶりにゴールデン・コンビを復活させたガイ・リッチー監督×ジェイソン・ステイサム主演の最新作『キャッシュトラック』が10/8に公開決定!
明日の試写を前にガイ・リッチー長編デビュー作の『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』を久しぶりに再鑑賞です。

●1998年イギリス公開作品(日本公開は1年遅れ)で、イギリスではその年の年間興行成績1位でしたが、全世界・アメリカのトップは『アルマゲドン』『タイタニック』。
いわゆる大衆向けではない内容にもかかわらず、独創性と複雑で巧みな構成をマフィアや無知と偶然が絡み合って生み出されるシュールな笑いのセンスでガイ・リッチーの才能が世間に知れ渡るきっかけとなり、映画ファンに愛され続けている作品。フィルマで4.1の高評価は凄い!

再鑑賞で改めてガイ・リッチー監督作で1番好きな作品です。
90年代後半という時代も含めて勢いがあり、バイオレンスをギリギリで笑いに変えながらも黒人の頭が吹っ飛ばされてる絵面は今ではもう作れないでしょう(笑) 
複雑な登場人物ながらも古典的設計のストーリーをテンポよくハイセンスに仕上げたマフィアパロディのような作風やセリフが可笑しくて何度か爆笑しながら楽しみました!

●あらすじ●
ロンドンの下町に生きるエディはある日、仲間3人から金を集めギャンブルに投資するが惨敗。逆にその元締めに多額の借金を背負ってしまう。返済猶予は一週間。途方に暮れるエディたちだったが、彼らは偶然隣人の強盗計画を耳にする。ギャングやマフィアが入り交じって繰り広げられる群像劇。

●感想●
『ワイルドスピード』シリーズで活躍するアクション人気俳優となったジェイソン・ステイサムの映画俳優デビュー作でもあります。
俳優になる前、実際に市場の露店で商売をしていたステイサムの経験をそのまま生かしたオープニングが既に面白い予感しかなく、古臭いフィルターがかった映像にとても味があります。

Todayをトゥダイのように「エイ」を「アイ」と発音するようなコックニー(ロンドンの下町)訛りの英語が作品全体をマヌケなコメディに染め上げていますが、イギリス社会では労働者階級と上流階級では話す英語も違い、労働者階級の人が話す英語がコックニー。
イギリス人からしたら、こういった細かい設定も面白いんでしょうね。

余談ですが、コックニーを話す労働者階級の人達が犯罪を犯すことが多く、オーストラリアに囚人として流刑されたため、初期のオーストラリア移民はコックニー訛りでオージーイングリッシュはこのコックニー訛りとアイルランド訛りの影響とも言われています。
なのでオーストラリアに住んでた時の懐かしさが蘇りました。

軸となるエディ、トム、ベーコン、ソープ4人のキャラクターが魅力的!
ソープ役を『ボヘミアン・ラプソディ』の引継ぎ監督デクスター・フレッチャーが演じており、このキャラが本当にいいんですよ。
クリーン故に「ソープ」って呼び名なのにナイフについて語るシーンがあり、ここ私の爆笑ポイントです。
銃社会では簡単に銃で人殺せるので、銃を使わずにわざわざナイフを凶器にする奴=かなり危ない奴の認識。
なのでソープが銃じゃなくナイフを使うって話した時に皆がポカーンとして「殺し屋だったのか?」ってセリフが本当に面白かった!

この4人の他にも登場人物が多いので、理解しないと途中で意味がわからなくなりますが、それぞれのグループが繋がっていく関連性と無知がもたらす散弾銃に集中して行けば中盤から面白くてたまりません。
わからなくても盗んで奪っての繰り返しで起きる銃撃戦やマヌケさが何となくは楽しめるのかなとも思えますが、話を理解できた方が絶対に面白い!
伏線もオチも最高です!!

映像や音楽のセンスも使い方も嫌味の無いスマートさで、後のガイ・リッチーであざとい演出が出て来る度にどうしてもこの作品と比べてしまいます。
それを思うと『ジェントルメン』は上手いこと原点回帰から時代に合わせてアプデさせたなぁとまた観たくなりました。

そして、最新作『キャッシュトラック』は2003年に公開されたフランス映画『ブルーレクイエム』のリメイク作品で、オリジナルの脚本を基にガイ・リッチーが新たに脚本を執筆した形だとの話。
オリジナルはレンタル取り扱いほぼ無しで、配信はTSUTAYA TVのみで鑑賞できるようです。
間に合わなかったので比較ができませんが、ガイ・リッチーのテイストでどう仕上がるのか楽しみです!
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