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その女、ジルバのCinemanのレビュー・感想・評価

その女、ジルバ(2021年製作のドラマ)
3.0
『その女、ジルバ』
村上牧人、根本和政監督
2021年公開 日本
鑑賞日 2023年6月23日 U-next

結婚直前で破断になり物流倉庫に左遷されて貯金はないし夢もない。
40歳の誕生日を迎えた主人公がバーの扉に貼られた[ホステス求む! 時給2000円 未経験者歓迎 年齢40歳以上]のチラシを目にしておずおずとバーの扉を開く。
彼女が開いたのはバーの扉ではなく新しい人生への扉だったのだ。

【Story】
あこがれのアパレル会社で販売員として働いていた笛吹新(うすいあらた・池脇千鶴)は結婚直前で婚約者に裏切られ破談となり、
リストラされて倉庫勤務に回されていた。
夢なし、貯金なし、恋人なしのアラフォー女子。
私の人生はこのまま終わっていくのかな?と鬱々とした毎日。

誰からも祝福されることのない40歳の誕生日の朝。
お誕生日おめでとうと着信したメールに喜ぶとネット通販からのメール。
いつもと同じパッとしない朝だった。
社員寮から職場に向かう途中、道端でうずくまっていたヨレヨレの老婆(草笛光子)に気づく。
周囲に助ける者もなくまるで40年後の自分を見た気がして思わず手を貸しました。

職場でもありがたくないことが起きた。

出向仲間の村木みか(真飛聖)と朝礼に出ると倉庫部門のチームリーダー・浜田スミレ(江口のりこ)から新任の課長が紹介された。
新任の課長とはなんと婚約を破棄した上司の前園真琴(山崎樹範)だった。
誕生日にこの世で一番会いたくない男と再開しかも同じ職場になるとは。

「俺たちやっぱり赤い糸で結ばれているね。こうやって再開するんだから」と能天気な前園にあきれて言葉も出ない新。
仕事の帰り道に一軒のレトロなバー『OLD JACK&ROSE』のドアの張り紙を目にする。

[ホステス求む! 時給2000円 未経験者歓迎 年齢40歳以]

40歳以上?え?以上!?

「これはワナに決まってる。いくら時給2000円でも私にはホステスなんて絶対ムリ。でもこのままの人生も嫌だし・・・」
新は思い切ってバーの扉を開けた。


ということで人生にくたびれたアラフォー女子が心機一転前向きな人生向かうまでに起こるあれやこれや。

【Trivia & Topics】
*原作のこと。
原作は有間しのぶによる漫画。
2011年7月〜2018年9月まで「ビッグコミックオリジナル増刊号」で連載された。
第23回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞。
ドラマは2021年1月9日〜3月13日まで東海テレビの「オトナの土ドラ」枠で放送された。

*池脇千鶴のこと。
『ピンポン』(2002年)や『下妻物語』(2004)やTV版「池袋ウエストゲートパーク」(2000年)で
お気に入りだった荒川良々が出演しているのでTSUTAYAで『ジョゼと虎と魚たち』(2003)を借りたのが2004年8月。
映画を観てビックリして、凄い!と驚いたのが池脇千鶴と犬童一心監督。
その後池脇千鶴は『大阪物語』(1999)、『犬と私の10の約束』、『うさぎドロップ』(2011)、『凶悪』(2013)『怒り』(2016)、『万引き家族』(2018)、『舟を編む』(2013)などを観ている。

犬童監督は『メゾン・ド・ヒミコ』とか『のぼうの城』(2012)も好きだけど武闘家田中泯のドキュメンタリー『名付けようのない踊り』(2022)が圧巻だった。

数々の受賞歴のある池脇千鶴は脇役でちらっと出演しても上手い役者だな〜感心するけれど本作でのいつもうつむいて地味に生きている女性がバーで働き始めてから生きる希望と光をみつけて輝くように変身する過程を見事に演じている。

*主な登場人物。
◯笛吹新(うすいあらた):池脇千鶴
アパレル会社勤務からデパートの商品発送部門の物流倉庫に出向とは名ばかりで左遷されている。
恋人も貯金もなく老後の不安を感じつつ鬱々と働いていた新はある日古めかしいバーのドアに貼られた「ホステス募集 40歳以上」のチラシを思わず2度見した。
「ええっ?40歳以下じゃないの?40歳以上希望?!」
新はチラシの貼られた『OLD JACK & ROSE』の扉をひっそりと開けてみた。
そのバーは平均年齢70歳の高齢バーだった。
源氏名をアララと名付けられた最年少ホステスとして週に2日だけ夜間働くことにした。

◯久慈きら子(くじらママ):草笛光子

◯蛇ノ目幸吉(マスター):品川徹

◯大田原真知(チーママ):中尾ミエ

◯七子(なまこ):久本雅美

◯菊子(ひなぎく):草村礼子

◯花富屋敷衿子(エリー):中田喜子

◯ジルバ:池脇千鶴二役

◯浜田スミレ:江口のりこ

◯村木みか: 真飛聖

その他多くの芸達者が出演しています。

*受賞歴。
・第58回ギャラクシー賞 テレビ部門入賞(2020年度)

・第47回放送文化基金賞 番組部門 演技賞(2020年度)‐ 池脇千鶴

【5 star rating】
☆☆☆
(☆印の意味)
☆☆☆☆☆:超お勧めです。
☆☆☆☆:お勧めです。
☆☆☆:楽しめます。
☆☆:駄目でした。
☆:途中下車しました。
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