伊緒

イノセント・デイズの伊緒のレビュー・感想・評価

イノセント・デイズ(2018年製作のドラマ)
4.5
死刑判決を受けた田中幸乃は本当に殺人犯なのか?無罪だと信じる慎一と翔は事件を調べ始める。彼女は本当に犯人なのか?慎一と翔は彼女を救うことが出来るのか?
WOWOW制作のサスペンスドラマ。


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暗くて悲しくて苦しい作品。
愚行録の監督らしい音楽の使い方と、
胃がキリキリするような生活の中の苦しさをイヤミスたっぷりに見せつけられる。愚行録では名刺の上にビールジョッキを置くなど、細かいけどすごく嫌な気分になる演出があって、それが今作では母親の零した牛乳を拭くシーンとかにも表れている気がした。


田中幸乃を取り巻く関係者のそれぞれのストーリーがパズルのように組み合わさって、事件の夜の出来事が明かされていく。


人間の二面性みたいなものをたくさん見せられ、どんなに嫌な人だったとしても、誰しも良いところや理解できる感情があるものだなと思えて救いを感じた。余貴美子が演じたおばあちゃんも、池内くんが演じた敬介も、どこか寂しくて不器用な人だったんだろうと思った。




だけど、だけど。
どうしても現実の竹内結子と重ね合わせてしまう部分が多くて、あまりにも辛い作品だった。幸乃が語る言葉が全部竹内結子本人のもののように聞こえた。幸乃が死にたいと洩らす度に「生きることを選べよ!」って、私も何度も何度も願った。生きることはとてつもなくしんどいけれど、それでも、生きていくことはとても尊いから。竹内結子が本当に本当に好きだった。女優を引退したとしても、どこかで彼女が生きていてくれるならそれだけで良かったのに、と未だに願ってしまう。
これは私の勝手な気持ちなだけだけど….。


楽しい作品じゃないけど重厚な人間ドラマで良作なので、観れる環境にある人にはぜひ観て欲しい作品。
毎話ごとに頬をビンタされるように痛くて苦しい気持ちになり、だけど雪乃の優しくて儚い笑顔にすがるような気持ちになった。ラストの顔が頭から離れない。


私はきっとこの作品を忘れることはないと思う。
伊緒

伊緒