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不要不急の銀河 ドラマ版のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

不要不急の銀河 ドラマ版(2020年製作のドラマ)
4.6
緊急非常事態宣言が出されて自粛の“延長”が叫ばれた5月上旬。スナック銀河を営む家族が岐路に立たされる。父・河原満(リリー・フランキー)と母・秋(夏帆)はスナックを続けるかやめるかで対立し、息子の慧(鈴木福)は彼女と近づきたい思いにかられ…。スナックを始めた八郎(小林勝也)と千代(片桐はいり)の思いは…。
スタジオのホームドラマのセットを使って撮影。制限の多い、こんな窮屈な時代、見て切なく、胸がキュンとなるホームドラマ。
ドキュメンタリー・パートでは、医療監修の専門家と感染を避けて撮影する方法を模索するスタッフの苦労、リリー・フランキーと夏帆さんと監督がスナックで取材する中でスナックのママさんが緊急事態宣言が解除されて店を開けて常連さんとカラオケ歌って一緒に呑んだ楽しさやスナックなどの店が孤独な人たちの救いになっていることが分かったり、「不要不急のものなんてあるのか?」というこのドラマの核が解る。
ドラマの中で、店を潰したくないから店を開けるべきと言う満と店を開けていると自粛ムードや世間的に肩身が狭いから休業すべきと言う秋の夫婦喧嘩を見て、スナック一筋にやってきた八郎と千代が「スナックなんて不要だったのかな」と落ち込んだり、満がリモートでスナックをやって常連さんから喜ばれる展開は、政治家によりスナックなどの水商売の店が「コロナの感染源クラスターだ」と印象操作され、それでいて満員電車で会社に通うのは厳しく抑制しない政治の職業差別やコロナ渦で経済的支援に消極的な政治に対する制作者の怒りが込められていて、クライマックスでリリー・フランキーと夏帆が中島みゆきの名曲「ファイト!」を熱唱するシーンは、自粛警察や政治に息苦しさを感じる人たちへの力強いエールのような感じで、心揺さぶるスペシャルドラマ。
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