『梨泰院クラス』
Netflixオリジナルシリーズ全１６話
２０２０年 韓国 Netflix
鑑賞日 ２０２３年６月８日 Netflix
最終回の視聴率が１６．５％を記録して韓国のケーブルテレビ史上７位の高視聴率を記録した作品です。
ソウル市の飲食店激戦区・梨泰院（イテウォン）を舞台に、
飲食業界でトップを目指して奮闘する若者たちを描く青春物語です。
空気を読むことなくどこでも誰に対してもフェアに自分の人生を貫く男と彼を慕う若者たち。
「ザ・グローリー 輝ける復讐」以上の復讐物語ですがとてもすがすがしいんです。
【Story】
高校3年のパク・セロイ(パク・ソジュン)は国内最大の外食チェーン・チャンガグループに勤める父の転勤で、田舎町に引っ越します。
転校先ではチャンガグループ会長の息子チャン・グンウォン(アン・ボヒョン)がクラスメイトを虐めたりとやりたい放題。学校側も見て見ぬフリです。
人一倍責任感が強く間違ったことが許せないセロイはグンウォンを殴ってしまいます。
謝罪を求めるチャンガグループ会長チャン・デヒの前でもセロイは信念を貫いて謝罪を拒否。
そのため退学処分になります。
そんな息子を「お前は誇らしい息子だ」と讃えた父も２０年勤めたチャンガグループを辞めさせられます。
セロイは父と小さな食堂をつくり、再出発に向けて準備をしていました。
そんなある日父はひき逃げ事故に遭い亡くなります。
犯人がグンウォンであることを知ったセロイはグンウォンに暴力を振い殺人未遂罪で刑務所に入ります。
グンウォンがひき逃げ事件の犯人だという事実はチャン会長の金と権力で闇に葬られました。
夢も希望も大切な家族も失ったセロイは初恋の相手オ・スアの一言で「チャンガグループを倒し復讐する」と覚悟を決めます。
服役中たくさんの本を読み経営について勉強し出所後も７年かけてお金を貯めソウルで一際賑やかな街・梨泰院に「タンバム」という小さな居酒屋を作りました。
セロイの心意気に賛同した仲間たちも加わりセロイの人生を懸けた復讐劇がスタートします。
【Trivia & Topics】
＊梨泰院NOW & THEN
梨泰院（いてうぉん）とは韓国随一の繁華街の名称です。
東京で例えて言えば六本木や原宿のような。
侵略軍の駐屯地で戦争中の混血児などが集まっていたので横須賀に近いイメージのようです。
アメリカ軍人とか観光客がたくさん集まる繁華街、それが梨泰院です。
この区域が最近不名誉なことで脚光を浴びました。
２０２２年１０月２９日。
ハロウィーンを前に集まった若者たちで群衆事故が発生。転倒などで死者１５８人、負傷者１００人以上を数える大惨事となりました。
その後、
かつてクラブやバーなど大きな建物がいくつも閉鎖。「賃貸」の紙が窓に貼られていました。
梨泰院観光特区は１．４１キロの区間に約２，４００の店舗が並んでさまざまなアイテムを安価に販売しています。英語の看板が並びほとんどの店の従業員は英語はもちろん日本語、中国語などの外国語ができるので言葉の不自由なくショッピングが楽しめる他、アフリカ、スイス、パキスタンなどのエスニック・レストランやバー、クラブなどのナイトスポットも充実してさまざまなエンターテインメントと食べ物を楽しめます。
市場や食堂、衣料品店などがそろう総合商業地でしたが事故後の客の入りは最盛期の２割くらいにお落ち込みました。大打撃を受けた新型コロナウイルス禍の回復途中で沖田事故でしたが最近になってようやくゴーストタウンからは抜け出しつつあるようです。
この街に自分のお店を持つチョ・クァンジンのウェブ漫画が原作です。
『六本木クラス〜信念を貫いた一発逆転物語〜』として翻案ドラマ化もされています。
＊初ドラマ出演のキム・ダミが素晴らしい。
ひょうんなことから主人公のパク・セロイ(パク・ソジュン)と出会ったチョ・イソ（キム・ダミ）。
成績優秀でインフルエンサーとしても人気があるがソシオパス（反社会性パーソナリティ障害）で一切他人に興味がない頭脳明晰な女の子。
あまりにも性格の違うまっすぐな性格のセロイに驚いてセロイの店で働き始める。
登場した当初は小生意気で１０人並の器量のガキだったイソが性格真反対のセロイと出会い自分の人生の目的に目覚めていく。自分で自分がコントロール出来なくなるイソの心の変化の過程を見事に演じたキム・ダミが素敵です。
キム・ダミは大学４年のときにオーディションを受け１５００倍の倍率を勝ち抜いて俳優としてのスターを切った作品『Ｔhｅ Ｗｉｔｃｈ 魔女』（２０１８）が３１９万人を動員するヒットとなり各映画祭の新人賞を総なめにした「怪物新人」と呼ばれたキム・ダミが２年後に本作品でお茶の間でも認知されました。
今後がもっとも期待される韓国スターだと思います。
＊「梨泰院クラス」と「六本木クラス」。
『六本木クラス〜信念を貫いた一発逆転物語〜』として翻案ドラマ化もされています。
＊ごちそうさま。
親子愛、大切な仲間、純愛、上昇志向、情熱、たくまざる努力、嫉妬、裏切り、一途な片思い、初恋、失恋、友情、ＬＧＢＴＱ、挫折、不屈の魂、復讐、格差社会、人種差別、甘いラブ・ロマンス。
すべての要素を包み込んだ巧みな脚本とセンチメンタリズムに彩られたハードボイルドな物語を具現化した役者たちが紡ぎ上げた極上の織物のような作品。
面白すぎる。
ご馳走様でした。
【5 star rating】
☆☆☆☆☆
（☆印の意味）
☆☆☆☆☆：超お勧めです。
☆☆☆☆：お勧めです。
☆☆☆：楽しめます。
☆☆：駄目でした。
☆：途中下車しました。
