鷺宮テラス

大江戸グレートジャーニー ~ザ・お伊勢参り~の鷺宮テラスのレビュー・感想・評価

4.5
神仏からいただける御加護のことを"お陰(おかげ)"なんて言いますけれども江戸時代には遷宮の翌年に行う伊勢参りが特に霊験あらたかだってんで『お陰参り』と呼んだそうで、その1年間は"お陰年"として大流行、4百万人以上の人が参拝したそうな。当時のこの国の人口が3千万人強だというのだからどれだけ熱狂したか現代まで熱気が飛んでくるような話でしてね。

この年に限っては奉公人が主人をほったらかしてお参りに家出しても『お陰参りなら仕方ねぇ、しっかりウチの分まで祈念してくれよ。』なんて許しちまう始末でして。

体が弱くて家から出られない人は代わりに犬を参拝に向かわせちまうのだからこれまたすごい。犬の首に路銀を入れた袋をぶらさげておいてお陰参りの人たちが道中を世話しながら伊勢を目指して参拝の証に伊勢神宮のお札を犬のからだに結びつけてあげたそうで人情溢れる時代だったようで泣けるじゃありませんか。*歌川広重の『伊勢参宮宮川渡しの図』にも立派な代参犬が描かれていてあっしも見ましたけどね、綺麗な色遣いでそこにいる人々の様子からこりゃたしかに大ブームにちげえねぇと感じ入りました、ええ。


本作は江戸で負けが続いた博打の運を取り戻すためとは聞こえはいいが借金取りから逃げるためにお陰参りをすることになってしまった辰五郎(丸山隆平)と奉公を抜け出したさんきち(斎藤汰鷹)と身投げしようとして辰五郎に助けられた死にたがりの沙夜(芳根京子)と、そして代参犬の翁丸(おきなまる)が遥かお伊勢さんを目指します。

品川宿→川崎宿→藤沢宿→平塚宿→大磯宿→小田原宿→箱根宿→三島宿→吉原宿→岡崎宿→桑名宿 と当時のご当地グルメも紹介してくれながら借金取りの追手が迫ってくる中、彼らは無事にお陰参りが出来るのかー?

ってなぁお話で、
江戸弁を話す関ジャニ∞の丸山さんが◎。
芳根さんがいるから時代劇の雰囲気もビシッと締まる。斎藤汰鷹くんは子役として右に出る者なし。そして犬の翁丸もすんばらしかった!


映画【居眠り磐音】が良かったので本木克英監督の本作を鑑賞。時代劇愛が伝わってきたよ。

【完走】
鷺宮テラス

鷺宮テラス