shun

ザ・モーニングショー シーズン1のshunのレビュー・感想・評価

4.9
今年観た海外ドラマでもトップレベルの完成度だった。さすがAppleです。

10年以上続く朝の人気情報番組の司会者が突如セクハラで告発され降板する。長年一緒に司会してきたキャスターやプロデューサー、テレビ局上層部、そして代わりに入った新人キャスターを中心に#MeeToo問題を鋭く描いたドラマ。

アメリカではここ数年ハリウッドやテレビ業界でのセクハラ告発が相次ぎ、さまざまな関連作品も作られていますがここまで様々な視点からこの問題の本質と恐ろしさを描いた作品は初めてだと思う。


テレビ局という巨大な組織が一つの告発で変化を余儀なくされる。果たして加害者一人が降板すればそれで済むのか?そんなはずがない。
性暴力が行われるのを見ぬふりをし被害者を沈黙させる組織の構造が出来上がっていた。
本編ではBoy’s clubという言葉が使われていたけど、力を用いて女性を抑圧するシステムにどう立ち向かえばいいのか?果たして変えることは可能なのか?現代社会が直面する課題を突きつけてくる作品だった。

局の上層部から下っ端まで、様々なキャラが登場しそれぞれの過去と現在が描かれる。少しづつ明かになる職場の実態と腐敗から目を離せない。そしてやはり見ていて感じるのは決してこれが海外ドラマというフィクションの世界の出来事ではないということ。既視感のあるやりとりや言葉が何度も登場する。アメリカに限った話ではないしテレビ業界だけの問題でもない。なかなか日本では使われていないApple TV制作のドラマですが、ほんとにApple製品使ってる人は観てほしい。これが月600円で見放題なんて安すぎるくらいだと思う。

出演者も実力派揃い。降板した男性キャスターにはスティーブ・カレル、長年パートナーとして番組を続けていた女性キャスターにはジェニファー・アニストン、急遽抜擢されたキャスターにはリース・ウィザースプーン。これまでコメディ作品で活躍してきたベテランたちがシリアスであると同時に人間味溢れる登場人物たちを演じていた。
個人的に一番好きだったのは報道局長のコリー。超野心家でいつも笑顔で何考えてるのか分からないけど好感度高い。

そしてまあなんと言ってもハンナを演じたググ・バサ=ローはエミー賞に値する演技だったと思う、特に8話と10話。
「ロキ」のシーズン2にも続投するし今後の活躍が楽しみです。

いい海外ドラマに出会えた。扱うテーマは重いけどどこかコメディチックでキャラも人間らしさがあるからほんとにおもしろい。今観るべきドラマを聞かれたらまず間違いなくこの作品をまず挙げると思う。
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