夏になると死体が消える映画を観たくなりますよね。私が私のためだけにお贈りするこの企画。眠れぬ夏の夜に、今年も消えた死体の理由を楽しみたいと思います。
「真夏の夜のミステリー消える死体の映画祭2021」
(コロナ禍の影響で、今年もこの企画が少し遅くなっちゃいました。秋の気配が漂ってきた気もしなくもないですが、この四夜だけは、まだ真夏設定でお願いします)
映画そのものの評価ではなく、以下①~④の観点で評価して点数をつけます。作品の面白さには全く関係ありません(でも加点で微調整してるのはナイショ)。
評価はデフォ1点+以下それぞれ1点満点で
①死体の消し方に趣向を凝らしているか
②背景
③意外性
④美しさ
今年の1本目はこちら
『パディントン発4時50分』
原作はアガサ・クリスティー。女王です。ミステリーの女王。そしてミス・マープルシリーズは英国でドラマ化されています。今回観たのは1本だけなので、この1本だけのレビューとなります。
①死体の消し方に趣向を凝らしているか
あえて見せない。それはまるでルビッチタッチ(ちょっと言い過ぎ。いやかなり言い過ぎましたすみません)。沈黙が饒舌に語るように、見えないからこそ想像力を掻き立てる。まるで古代の墓泥棒を演出するような死体の消し方。好きか嫌いかでいうと、わりと好きです。
[0.8]
②背景
原作者のアガサ・クリスティー本人が依頼したというハマり役、ジョーン・ヒクソンのミス・マープル。違和感が全くない。すごい。『ハリー・ポッター』におけるダニエル・ラドクリフみたいなもんです。その優しい佇まい、秘められた知性、好奇心旺盛で、人の心理を読むことに長けているこのおばあちゃん。キャラクターが最高なんですよね。もうねニコニコしながら観てました。楽しいなあ。
[1.0]
③意外性
実はこの作品、去年のこの企画でフランスのリメイク版を取り上げているんですよね。なのでだいたい分かるそのあらすじ。もちろんこっちがオリジナルなので細部は異なりますが。意外性という意味では、普段見慣れぬ英国の俳優さんたちが意外でした。何が意外かって、子供役はマコーレー・カルキンに見えてくるし、その父親はマイケル・J・フォックスに見えてくる。家政婦さんなんか若い頃のシガニー・ウィバーだからね。そういった意味での意外性はありました。
[0.8]
④美しさ
この作品、死体描写がマイルドなので評価できません。残念ですが。もっとこう美術さんの腕の見せ所を見たかったのになあ…。その代わりと言ってはなんですが、劇中の一言に感銘を受けましたので、それをもって評価させていただきたい。
「殺人の理由は2つある。お金か愛だ。」
至言だ…
[0.7]
このシリーズ、楽しいな。他のも観なくちゃ…