人種や性別など、現代のアメリカが抱える問題を凝縮して見せているところがすごいなあと思いました。
オードリー(ホリー・ハンター)とグレッグ(ティム・ロビンズ)は、70年代にヒッピーとして社会活動をしてきた夫婦。ヴェトナム、アフリカ、コロンビアから養子を迎え、末っ子のクリスティンだけが実子。
舞台は現代のポートランドで、すごくリベラルで有名な都市なんだけど、実はここもそんなに開放的な雰囲気ではなさそうで、還暦を迎えたグレッグは、なんだか希望を失くしているいるよう。
オードリーは未だに理想主義で、家族構成を見てもどーしてもアンジェリーナ・ジョリーを彷彿とさせるのですが、苗字がベイヤー=ボートライトと、妻が夫の姓を名乗るんじゃなくて、2人の姓をイコールでつなぐなど、もうバリバリのリベラル。
養子の子供たちは今はもう大きくなって、ヴェトナム養子のデュークはモチベーショナル・コーチ、アフリカ養子のアシュレーはファッション・ブランドのオーナー、コロンビア養子のラモーンはビデオ・ゲームのクリエイターになるべく大学で学んでいる。
みんな白人の親に育てられているんだけど、オードリーは「それぞれのカルチャーを大事にする」とか言ってデュークの卒業式にアジア風の服を着せたり、白人が差別をしていませんよ~って言うための道具みたいな感覚を持って生きているみたい。
末っ子で実子のクリスティンは、白人なんだけど、金髪の美人じゃなくてあんまり目立たない感じの子で、「白人はカルチャーがない。姉や兄はみんな独自のカルチャーがあってうらやましい」とか思っている。
ラモーンはオードリーのお気に入りらしく、デュークとアシュレーは「ベイビー・ジーザス」と呼んで嫉妬するんだけど、ラモーンはゲイ。幻覚を見るようになって、セラピストにかかるんだけど、セラピーの先生はイランからの移民のフレッド。
という、本当のアメリカってこんなに多彩なんだよ、って登場人物の設定が上手いし、各エピソードで起こる事件も、人種間の問題とか、その時各個人が感じる気持ちとか、良くわかっているなあ、というか、良くこんなに上手く絡めているなあと感心した。
しかし、全部で10話あるんですが、6話くらいまで観たところでなんかどーでも良くなってきた。言及したアメリカの人種や性別の違う人々の声を拾い上げるっていうのは素晴らしいんだけど、ストーリーに昇華して行かないので面白くない。
一応、ラモーンの症状が精神病じゃなくて、フレッドの記憶と繋がっていて・・・みたいなスピリチュアルな話になっているんだけど、それも「マイノリティのトラウマはみんな繋がっている」みたいなあやふやな感じしかなくて広がって行かない。
しかも1シーズンで打ち切りになってしまったので、中途半端に話が終わっている。
でも最初の半分は、差別問題の本質を良く描いていて興味深いので、観る価値はあったなとは思うけど。