たか

JIN -仁- 完結編のたかのレビュー・感想・評価

JIN -仁- 完結編(2011年製作のドラマ)
5.0
 かなり見応えがありました。人が持ちうる葛藤が沢山散りばめられています。その主だったのが死生観です。特に封建社会において、君主への忠誠を自分の中でどう位置づけるか?そして命をどう捉え扱うか?
 ラストは程よく伏線回収ができつつも、視聴者に解釈を委ねる部分も多いです。正解がないだけに好き勝手な妄想をする楽しみを残してくれました。
 タイムリープのキッカケは、南方が友永未来の手術を失敗した強い後悔だと思います。ラストは橘未来の手術を行うシーンで終わりますが、さてどうなるか?ハッピーエンドを望みたいですが、また失敗してタイムリープする可能性もあります。なぜなら平成22年の10円硬貨が存在していたからです。そうやってドラマ「ブラッシュアップライフ」のように沢山のパラレルワールドができるのかもしれません。
 別の視点で輪廻の要素を付け加えると、橘未来は橘咲の生まれ変わりです。咲→さき→先→過去、そして未来。野風が最後の方で二人の幸せを祈るシーンがありました。この祈りが叶うとしたら、南方は橘未来の手術を成功させます。その手術の過程で、未来は自分が咲の生まれ変わりであることに気づきます。そして二人は晴れて結ばれますが、歴史の修正力でそんなことはすぐに忘れ、ただただ幸せに暮らします。
 そもそも最初のワールドで、過去から来た南方には胎児様腫瘍がありました。考えてみればこの南方、元々は更に前のパラレルワールドの人ではないでしょうか?前のパラレルワールドも無限にあり、その中に坂本龍馬と南方仁の関わりがきっとあります。少なくとも二人は強い絆で結ばれています。友永未来の友永姓は「永遠の友」とも解釈でき、それを暗示しているようです。
 一つ気になるのは、もう一人のタイムリーパー佐久間象山、きっとこの世にはそこそこタイムリーパーがいるのでしょう。どうやらブラッシュアップライフのようにパラレルワールドを共有しているみたいですね。
 最後に、綾瀬はるかが良かったです。未来のものに驚く様子は、映画「今夜、ロマンス劇場で」とダブります。そして、このまま会津戦争まで描いたら、大河ドラマ「八重の桜」と鉢合わせになります。八重と咲、だいたい同時代の同世代ですね。そんな色々な楽しみ方ができる作品でした。
たか

たか