ねまる

英国スキャンダル~セックスと陰謀のソープ事件のねまるのレビュー・感想・評価

3.7
まだ同性愛が違法だった頃のイギリス。
ゲイの議員の主人公が、権利獲得のために戦う、のではなく、暴露されないようにあわあわする話。

結婚すると支持率が上がる、とか、信頼感が増す、とか、なんだろう確かにこの社会の中に確かにある感覚なんだよね。
男女逆だと、独身で働いてる女性はキャリアウーマン、結婚して子供が出来たら家庭優先、みたいな。
合法になっても、ゲイであることは政治家としてマイナスになる。
思い起こすと確かにあって、でも言われないと気づかない偏見。

合法化に向けて動く議員が味方につけた有権者。
兄は自殺したんじゃなくて、法律に殺されたんだ、って言う。
日本でもLGBTQ当事者の10代はこの1年で48.1%自殺を考えたことがあるそう。
実際に未遂まで及んだのも14%。この数字には亡くなった魂は含まれない。
違法でなくても、今の日本の法律は人を殺してる。この社会は。

ただダメなヒュー・グラントのお間抜けドラマなんだけど、現代社会にも通ずる問題提起をガンガン行ってくるところが、さすがラッセル・T・ディヴィス。

ベン・ウィショーが可愛いのはもちろんなんだけど、カメラマンの役でちょろっと、ダリル・マコーマックが映って美しい〜。
"Good Luck to You,Leo Grande"も日本で観たいなぁ。

3話、こういう法廷劇って間違いなく面白いもんな。
可愛いベン・ウィショーが、弁護士を負かしたあの強い台詞。声のトーンも表情も全然他のシーンと違う。
何故法廷の場で、政治家まで相手取って声を上げるのか。それは、ノーマン自らはもちろん、当時の同じような目にあってた人、そして現代の私たちのためでもある。
一方のヒュー・グラントも、滑稽に演じてみせるのも得意だけど、そうしている時の表情が深くて深くて。この人頭いいなぁと思うもんね。悪い方の立場だけど、弱い方の立場でもあって、その複雑さの全てを報道では無表情というあの表情の中に収めているんだよね。

2人の名優に拍手を。
ねまる

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