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必殺仕事人のABBAッキオのレビュー・感想・評価

必殺仕事人(2023年製作のドラマ)
3.5
 2023年末スペシャル・ドラマ。副題は特についていないが、東山紀之、松岡昌宏、和久井映見らいつもの仕事人たちを中心にしたストーリー。前回、遠藤憲一が退場となったのでその代わりに松下奈緒が加わる、というのがメインストーリーのはずだったが、撮影終了後に東山の俳優引退が表明され、本作での登場が最後、という話題が中心となってしまった。当然ながら作中ではその示唆はない。
 ただ、ストーリーは今の世相を反映する最近の傾向に沿って、前半は地下アイドルのような踊り子を有名歌舞伎役者に差し出す悪徳プロデューサー、後半は慈善家の仮面をかぶりながら実は権力と結託して私腹を肥やす悪徳商人、が仕事の対象、という結果的にはジャニーズや電通を皮肉ったような内容になっている。
 出来としては、ひどかった前作に比べるとましだが仕事人らしい風刺が効いていた2022年作に比べると平凡、という印象。善人顔の裏の顔が悪徳、という人物の切り替わりがあっさりし過ぎていた。その中では殺人フェチの中尾明慶が面白いアクセント。
 東山は時代劇の主役として安心して見られる当代希有な俳優だっただけに引退は残念。藤田まことから継承された仕事人、今後継承していけるのかどうか、注目したい。
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