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VIVANTのhikarouchのレビュー・感想・評価

VIVANT(2023年製作のドラマ)
3.8
全話完走の感想。楽しかった!

考察界隈にはほとんど触れて来なかったですが、ほぼほぼリアルタイムでお祭りに参加出来てよかったです。
エンタメとして、ここまでの規模で、練られた脚本で、豪華なキャストで10話走りきれるドラマって、海外含めてもそうそうないと思うので、日本のエンタメ舐めんな!という意味でとっても良かったと思った。

最初のころは、ダッサい撮影や演出や演技に胃もたれしていたんだけど、慣れてしまったのか、上記の豪華さに目が眩んだのか、回を追うごとに気にならなくなった。


一方で、ちょっと真面目な目線でこの作品が伝えているメッセージや描いている問題に引っかかるところが無いわけでもなかった。

まずテロ行為をしっかり断罪していない危うさ。最後テント幹部に裁きがくだされるところで、作り手としてはケジメをつけたつもりなのかも知れないが、それでいいのか?てのは思ってしまった。
それで、彼らが手掛けたテロにより亡くなった人や傷つけられた者たちが回復するわけではないし、明らかに組織犯罪に深く関わっていた幹部のノコルは何の咎めもなく文字通り「残る」わけで、極悪犯罪組織に対する対処としては、「甘々の、アマ」と言って良いと思う。こいつらただ金を手に入れるためだけに(その金の使い道が何であれ)罪もない人たちをぶっ殺してるゴミ人間どもだからね?という違和感。

また、ドラマがバルカという外国かつ架空の国の問題を盛んに論じ合い続けるところもどうなのかなと。一方で日本はというと、公安にしても別班にしても、日本の警察・自衛隊組織があらゆる面で超優秀かつ絶対的正義の味方として描かれきったところにも違和感を感じる。むしろこれら組織の暗部、例えば本人の意思(つまり基本的人権)を完全に無視した配属と職務などに対する疑義を呈する姿勢とかももう少しあっても良かったのではないか。
「公安(というか阿部寛)すげー」「別班(というか堺雅人と松坂桃李)かっけえ」という印象に終始してしまって残念に思うのは、ないものねだりなのか。

また2年後に次シーズンという噂も聞いたし、あの終わり方を見てもその気配はプンプンなので(アメスパシリーズ知る我々はそれでも油断はできない)、次回作でこのあたりの疑問や違和感に答えてくれることを楽しみにしている。
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