ねまる

ロリエ・ゴドローと、あの夜のことのねまるのレビュー・感想・評価

4.1
どうしてカナダなのに、フランス語なんだろう?と思ったら、カナダの公用語は英語とフランス語の両方で物語の舞台となるケベック州はフランス語圏だそう。
グザヴィエ・ドランをフランス人だとかつて思っていた理由が解けました。

実はあんまり観てないドラン作品。
観たのは評判はあまり良くないけど、私は大好きだった『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』の1本のみ。

今回ドラマを観て、改めてこの人の凄さを知った。
2本目だったからこそ、同じようなテーマを話を見たことがある気がしてたからこそ、5話をかけて描くからこそ見せつけられたのか。
構成・映像に1mmも隙がなく、誰もが少しずつ欠点を持つ人間だからこその愛おしさ。
音楽を担当しているのがハンス・ジマーということもあり、毎話頭に流れるOP映像も印象的。

それぞれが抱える謎が、時系列ではない回想映像とともにちらつく序盤。
雨のシーンも多く、暗い印象で、登場人物たちも声を荒げて怒るシーンが多い。一体この家族に何があったのか。
そこから深く暗いところに掘っていくというよりは、良い思い出と幻想とも混ざって、光のもとに炙り出される。

10代の頃の彼らを暗いところに閉じ込めた事件とは?あの夜何があったのか。

だんだんとこの家族のことが分かっていくうちに、それはサスペンスではなくなっているのに、物語の吸引力はどんどん力を増す。
家族一人一人のキャラクターが個を放ち続け、どのシーンも強烈で見応えがある。

それはもうどんなオチでも良かったのかもしれない。それでもここに辿り着くか、と。
どこにあるかも知らなかった地ケベック。その大きくはない街での出来事。

「それでも、、、」

インタビューで、ドラマ好きを語りまくるドランくん。お疲れのようだからゆっくり休んで欲しいけど、マイク・ホワイトの『The White Lotus』がお気に入りのようで、出たい出たい言ってたので、マイク・ホワイトさん何卒ご検討ください。
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