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今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー~のしおりのレビュー・感想・評価

5.0
辛いシーンがあります。特に8,9話あたりはくらってしまう人もいるかも。
心が安定している時の視聴をおすすめします。





私は精神科で働いているので、このドラマに描かれている患者さん一人ひとりに
これまでお会いした患者さんたちがリンクして胸がぎゅうっとなりました。
毎日、どんな映画や小説よりも
深くて辛くて苦しい患者さんの受診に至ったヒストリーが書いてあるカルテを読んでいると
現実の容赦なさ、世間の厳しさ、スティグマに打ちひしがれます。
でもね、よくなっていく人もいるんです。
きちんと治療して、少しずつ少しずつ。

精神障害者手帳は、更新制です。
一時的に障害者になっても、現況が変われば手帳は必要なくなる。
私はそこに、希望を感じています。

そしてこの作品の数あるテーマの中の一つに毒親があって。
欧米のドラマによくある"deserve to be loved"が韓ドラで描かれているのを、私は初めて観た気がします。
『母を棄てる』。
この展開がどれだけたくさんの視聴者の気持ちを救うだろうかとすごく嬉しくなりました。
親って関係性次第では呪いになるから。
自分で選んだ家族じゃないのにね。

それとvulnerabilityも。
弱さを曝け出す強さを、非欧米圏の作品でここまでがっつり描く素晴らしさに震えました。
精神科通院歴や入院歴は、カムアウトすることに怯えることじゃないと思うけれど
世の中には無知から来る偏見がどうしてもある。
だからこの作品がその一例をきちんと描いたことにものすごい意義を感じます。
一生懸命頑張って、我慢して我慢して自分を抑圧して他人に譲ってきた優しい人たちがなる疾患です。
それなのにさらに負い目を感じる必要なんて、絶対にないから。

メタ認知や褒め言葉日記等、色んな精神療法も出てきて
受診を躊躇している人にとっても
身近に精神疾患の方がいる人にとっても
ポジティブなイメージが持てる素晴らしいドラマだと思います。
私の中でイ・サンヒさんが出てる作品は間違いないというぼんやりしたジンクスがあるのですが、今回もそうでした!
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