派遣労働者の闇を切る骨太ドラマ。
長い間自殺と処理されていた身元不明遺体が、実は殺人の疑いがある…ということに。
事件の足取りを追う昔ながらのアナログ刑事役に織田裕二さん。
これがとてもハマっている。
回を追うごとに、なぜ殺されなければならなかったのか?という理由が少しずつ明らかになり、真相がしっかりと判明する。
動機や理由も納得のいく筋書き。
フィクションではあるが、ノンフィクションさを感じるほどリアリティがある。
現代でも明らかに差別はある。
そう格差という名の。
資本主義社会の劣悪な歯車は、人を人として見ず、ただの部品と化すこともある。
そしてその劣悪な環境からの脱出として、悪魔の囁きに屈するという実態もきっとあるだろう。
一度堕ちたスパイラルから這い出るのは極端に難しい社会。
弱者がさらに弱っていく。
そんな社会の闇を正すことはできないのか?
と熱く問う織田裕二さんの演技が心に刺さり、胸を打つ。
正しく生きることが難しい社会なんて悲しすぎるが、それもまた現実である。
ある意味、これはリアルホラーだ。
良質なドラマを度々創るNHKさん。
本作もとても見応えがあります。
おすすめです。