なっこ

鶴唳華亭<かくれいかてい>外伝~別雲間~のなっこのレビュー・感想・評価

3.2
因果応報

その言葉に尽きる。

皇太子を中心にしたstoryだと思っていだけれど、違ったかもしれない。華やかな彼を主人公のように見せていて実は父と子、いや、この父の物語だったのかもしれない。そのくらい時間軸をもっと広げて物語を追ってはじめて、彼ら親子の苦悩、天子の苦しみが理解できるような気がする。

本来ならば帝位に就いた皇太子、
本来ならば皇太子妃になった忠臣の娘、
本来ならば…

そんな言葉を繰り返して考えているうちに気が付いた。人の手で、誰かの野心や欲望によってその地位を奪ったりした人たちの最期はどうなるか、そういうことを描いているのだと思う。彼等は“天”の意志に背いている、だからやがて報いがやって来る。

本来ならばその地位にあった人たちは、己の分を弁えていればやがてその身に相応しい身分が戻ってくる。私の好きな人物は物語の最期までその姿を見ることができた。それにしても多くの人が途中退場することの多い物語だった。数え切れない。

この父と子の問題は、この結末で良かったのだろうか。
受け入れられない訳じゃない、悲しいけれど美しいstoryだとも思う。皇太子の生き方、そして彼を支えようとする人たちの奮闘、その絆に美しさを見ることが出来るから。でも、この“報い”というテーマからなぜか私は日本の古典『源氏物語』を思い出していた。東洋の父と子の物語をもう少し深く知りたいなと思った。
なっこ

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