ワイカ

エルピス—希望、あるいは災い—のワイカのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

 素晴らしいドラマ。ここ数年で一番かも。日本の民放がまだこんな骨太で社会をえぐるような作品を作れるなんて感動です。

 これまでのジャーナリストもののドラマって、なんつーかリアリティに欠けるものばかりだったけど、こちらはテレビ局の報道部にみっちり取材して脚本を書いたのか、記者側のリアリティがハンパないです。

 まず事件の真相を追う主人公たちの描き方が良いです。みんな複雑な過去と弱さを抱えて迷いながら必死に真実に近づいてく姿がリアルで感情移入できます。肝の事件の取材に入るきっかけも仕方がなく、っていう設定なのもありそうで共感できます。

 保身による内部からの妨害とか、政府に首根っこつかまれてるテレビ局では本当にありそう(実際にNHKやテレ朝でいろんな暴露話が出てるし)なところをしっかり描いてるのもすごい。これをテレビ局がドラマ化したことに驚きです。

 骨太ながら、随所に軽い笑いも差し込んでるのも見やすくて〇です。

 キャストも絶妙です。長澤まさみはやっぱりコンフィデンスマンみたいなハイテンションな役より、こういう真面目な役の方が合います。千葉真一の息子も良い感じ。鈴木亮平もかっこよかった。

 そしてさらにドラマに深みを与えてたのは、脇を固める役者さんたち。地味であまり見たことないような人たちながら、みなさんとても良い演技をしてました。最近のドラマって、池井戸潤原作ものにあるように同じ役者さんを何度も使い回す傾向があってちょっとどうかと思ってただけに新鮮でした。特にあのセクハラパワハラ上司役の俳優さんはかなりのインパクト。
 
 ずっと重苦しい展開が続いただけに、最後はああいう終わり方で良かったです。胸が熱くなってちょっと泣けちゃいました。うん、このドラマはホントに良いですよ。

 あえて突っ込みどころを少し挙げるとすれば、冤罪を生んだのが大物政治家という設定がちょっと陳腐。岸本がクビになった理由も、劇中で語られてたけど無理があるかな。あと大手テレビ局の官邸キャップはたぶんあんなにひまじゃないです苦笑
ワイカ

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