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草燃えるのShoMのレビュー・感想・評価

草燃える(1979年製作のドラマ)
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総集編にて。
永井路子の複数作品を中島丈博が再構成した大河ドラマ。

『アウトレイジ』か『仁義なき戦い』めいた源平合戦・武士と朝廷の権謀術数・鎌倉幕府の内部抗争を、頼朝・政子夫婦を柱に描いていく。愛に燃え頼朝と夫婦になり、最後は尼将軍となった政子に最後去来するのは途方もない孤独感。

女たらしのクズ頼朝、愛に燃える政子、ヒステリックな義母・牧の方、そして当馬にされ嬲られ源氏・北条へ怨みの炎を燃やす伊東祐之。永井路子の原作をどこまで使っているのか分からないが、人物造形と展開されるドラマが間違いなく中島丈博脚本。

情念で押していく作劇で、オリジナルキャラクターの伊東祐之、茜、小夜菊の配置や、過剰なまでに過去の因果が今に巡る展開は中島丈博の昼ドラとそんなに変わらない。略奪、凌辱、人肉食、男色と大河ドラマながらとんでもない描写のオンパレード。

今見ても当時としてもかなり豪華キャストで、役のはまり具合や配役が見事。

初登場時はシスコン気味で純朴だった義時(松平健)が、後半では闇に落ち完全に幕府の黒幕と化している演じ分けの凄さ。

鎌倉三代は石坂浩二、郷ひろみ、篠田三郎と雅で気品のある顔立ちの配役。

粗野な坂東武者たちは金田龍之介、藤岡弘、伊吹吾郎、中田譲治と見るから屈強そうな感じ。その中でも江原真二郎の梶原景時は深沈とした古武士のようで異彩を放つ。また藤岡弘の三浦義村も、彼のパブリックイメージとは異なる策謀家であり新鮮だった。

一方鎌倉幕府の文官たちは、岸田森の大江広元と石濱朗の三善康信で、鎌倉武士の中にいてインテリジェンスを放つ。さらに京の公家は高橋昌也、仲谷昇、津村鷹志と腹は読めないしどこか鼻持ちならない雰囲気。

後白河法皇を尾上松緑、後鳥羽上皇を尾上辰之助と歌舞伎俳優にしているのも、人物の属性によってカラーに統一感を出すためだろう。
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