sonozy

ウ・ヨンウ弁護士は天才肌のsonozyのレビュー・感想・評価

ウ・ヨンウ弁護士は天才肌(2022年製作のドラマ)
4.5
自閉スペクトラム症(ASD)という障がいを抱えながらも、並外れた記憶力と明晰な頭脳でロースクールを首席で卒業し、韓国で一、二を争う大手の法律事務所・ハンバダで弁護士となったクジラ大好きなウ・ヨンウの物語。全16話。

コミュニケーションや相手の感情・場の空気を察することは苦手だが「逆から読んでもウ・ヨンウ。キツツキ、トマト、スイス、子猫、南!」というフレーズで自己紹介し、クジラの話をし始めると止まらなくなるキュートなヨンウ。

・聴覚過敏のため通勤時はヘッドホン
・触覚過敏のため握手や肩に触れられることが苦手
・その場の雰囲気に沿った発言や、空気を読むことが難しくストレートに発言してしまう
・会話の際のアイコンタクトが苦手
・キンパ(海苔巻き)しか食べない、モノを綺麗に並べるといったパターン化/反復する行動…
といった、ASDの方の特性を演じたヨンウ役のパク・ウンビンの演技の素晴らしさ。
回転ドアを上手く通過できなかったり、違う空間に入る時の衝撃を緩和するために3つ数えて深呼吸してからドアを開ける/通過するなども。

身近にASDの方がおらず接点もなかった私としては、ヨンウのようなケースは少ないのだろうとは想像しつつ、ASDの症状とその苦労が様々なものであることを知れただけでも有意義でした。

ウ・ヨンウが、裁判で勝てる弁護論理や隠れた争点がひらめくたびに、海のクジラやイルカの姿が挿入されるシーンと、法律や裁判例やクジラに関する膨大な情報がデータベースのように表示されるのも面白い。

登場人物も皆さん魅力的。
ハンバダでは・・
ヨンウの能力を早くから認めてくれる素晴らしいメガネ上司ミョンソク。
ミョンソクのチームメンバーである二人の新人弁護士、
ヨンウのロースクールの同期で何かとヨンウをサポートしてくれるスヨン、ヨンウを敵視し妨害を仕掛ける”腹黒策士”ミヌ。
ヨンウを放っておけず惹かれていく優しきイケメン訟務チーム職員ジュノ。
ハンバダの代表でヨンウの父の大学の後輩ソニョン。
ミョンソクと全く違うクソキャラの上司、逆さぶらさがり健康器好きな(笑)スンジュン。

周囲には・・
ヨンウを男手一人で育てキンパ(海苔巻き)屋を営む父ビョンホ。
ヨンウがいじめを受けていた高校時代の同級生で唯一の友人、ファンキーなグラミ。
グラミのアルバイト先、ヨンウしか客の来ない?酒場を営むオヤジギャグ好きのミンシク。

そして・・
ハンバダ代表ソニョンの宿敵、ライバル社テサンの経営者で法務部長官の有力候補となっているスミ弁護士。

夫婦の愛憎、同性愛、土地を巡る兄弟の対立、技術の盗用、自閉症や脱北者の被告への偏見、美しい村の都市開発被害、異常な子供の教育熱、障害者との性愛、女性の不当解雇、ハッキングによる個人情報流出…といった様々な社会問題を背景とするテーマはほとんどが実際の判例をベースに作られたというリアリティ。
既存の法廷ドラマにありがちな勝敗のみでなく、人の心にフォーカスされていて、裁判を通して、ヨンウと関わる人々が変化・成長していくのも素晴らしい。

原題・英題の意味は「奇妙/変な弁護士ウ・ヨンウ」「非凡/異能弁護士ウ・ヨンウ」ということで、「天才肌」という邦題には違和感も。
sonozy

sonozy