NHKの良作ドラマ枠「よるドラ」を廃止し始まった、月-木の15分×週4回の「夜ドラ」。Z世代向けに意識されたカットで見せつつ、きっちり本格派になっていて凄く面白かった。
まず、何より15分×24回のプラットフォームが見やすさを向上させている。各話にスリリングな展開と隠された秘密が出てきて、サクッと進んでいく。回数が細分化されていることによる転調はかなり効果的。小回りも効くし、マンネリ化しにくく思える。
とはいえ、やはり低予算なのは臭う。同じ場所を転々とし、言葉だけで運んでいくが故の障壁は大きい。どうしてもそこに溢れるチープさは拭いきれない。
主演は『明け方の若者たち』の好演も記憶に新しい井上祐貴さん。その他キャストもフレッシュで見ごたえがある。北山宏光さんはすっかりダークな雰囲気が似合うし、中尾明慶さんも頼りがいがあって見事。始めましてだった尾碕真花さんも結構ハマってた。
そして何より、現代的な配慮も上手く組み込まれているのに感心してしまった。桜田ひよりさんはズボンを履き、奨学金やいじめなどにも言及。割と現代的なバランス感覚もできていたと思う。
もう少し予算をかけられていたら…とは思う。だが、意欲的で魅力的な作品に出来上がっていたと思う。