タイトルの「liar」がしっくり来ない終わり方。悶々とした大人の駆け引き、両面の内情を映すA-B sideは最後無くなってたし、次第に丸みが取れてしまったのが勿体ない。
『プリテンダーズ』の熊坂出監督に見上愛さんが待望のドラマ初主演。私にとってはかなり話題十分だったのだが、始まってみると、個々のシーンは際立ってるけど次第に見せ場が尻すぼみになっていった印象。駆け引きの精算に終始してしまったのが残念。
少しネタバレになるが、美沙緒が妊娠しなければ互いの気持ちに気づけなかったのかと思うと、かなり興ざめする。すれ違いながら本心をかく乱し、本音を見せられなかった2人の弱さをさらけ出すには動機が不純すぎるし、ドラマとしても安直に感じる。
とはいえ、見上愛さんの色気が悪魔的にも作用したり、佐藤大樹さんの意地悪で素直になれない感じは上手かった。大人びた雰囲気に危うさをはらんでいたし、本心が行方をくらます様なすれ違いを丁寧に積み上げていたと思う。ただ、脚本の連作スタイルがかえって牙を抜いてしまったのが惜しすぎる。
こういう恋愛ものだと、大きく描こうとしすぎてチープになることもしばしば。だからこそ変化や工夫が見たかった。
