真田ピロシキ

静かなる海の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

静かなる海(2021年製作のドラマ)
3.0
水資源が枯渇した未来を舞台にした韓国のSFドラマ。1話を見た感じだとジェイクや広之さんの楽しいエイリアン映画『ライフ』みたいなのを想像していたが、あんな派手なB級にするつもりも予算もないのかどうも展開が地味。ペ・ドゥナが主演でなければ途中で切ってたかもしれない。もっともこれは勝手にB級パニックSFを期待したこっちが悪くて、上品なSFサスペンスを期待するのならジワジワと殺人水の脅威が明らかになるのは悪くないだろうし、あの怪物と人間の間を行き来するような少女ルナの不気味さはスパイスになってて、彼女を巡る非道な人体実験の真相は『月に囚われた男』を思い出させて盛り上がる。しかしこれが明らかになるのは残り2話。ちょっと展開が遅く、最終話周辺で急に展開が早くなるのは良い構成とは感じられなかった。

最近は韓国ドラマでもNetflixのは続き前提の作りをされることが多いようでこれも勢いで見始めたから良いもののシーズン2に続かれると嫌だなあと思っていたが、あからさまなクリフハンガーはしてなくて続けようと思えば続けられる程度で、この話はこれで区切りがついているのは好印象。生存能力が驚きの新人類誕生には気になるところがあるものの、これを主題にしたら最初に予想したB級SFになりそうなので、これで匂わせて終わるのが丁度良いと思う。感心したのは月が舞台の話でセットやCGなどに説得力を感じさせてて、終盤の悪意を持って襲いかかるかのような水の表現なども合わせて立派にSFやれてる。アメリカとかに比べるとまだ安いのだろうけど、お金をかけられてると思えるのは羨ましい。日本では映画ですら同レベルの表現を出来るか分からない。せっかくNetflixと組んでるなら1個くらいパーッと景気の良い奴に挑戦してほしいものだ。

ペ・ドゥナ目当てに見たが、どうも最近のペ・ドゥナは真面目と言うか硬い役が多くて見終わってもそれほど印象に残らない。ファイナルエクスプレスのコン・ユがファイナル・エクスプレス同様に娘で泣かせようとする役回り。あの映画ほどウェットすぎないのが本作らしさ。この人、Wikipedia見たら誕生日が1日違いで歳も近かった。