こたつむり

ガンニバルのこたつむりのレビュー・感想・評価

ガンニバル(2022年製作のドラマ)
3.0
「この村の人間は人を喰っている!」
センセーショナルな台詞が印象的な作品。ディズニープラス独占配信…ということで、本作目当てで再加入したのですが…。

「うーん。マズい。もう一杯」
と八名信夫さんのように言いたくなる作品でした。というか“主人公に感情移入できない”ことが、こんなにもツラいとは思ってもいませんでした。

主人公は警察官。
トラブルを起こして、供花村の駐在所に飛ばされるのですが…もうね。警察官と言うよりもヤンキー。

気に入らなければ「あ?」と言ったり。
何かあれば「殺すぞ?」と言ったり。
きっと若い頃は「ボコるぞ」とか「おめー、何中よ?」とか言っていた(と思われる)タイプです。

しかも、態度が悪いだけじゃあないんです。
性格が脳筋気味で自己中心的なんです。彼は「家族のため」と口にしますが、心の奥底には“狂気”が潜んでおり、暴力の発露を望んでいる節が見受けられるのです。

だからねえ。
主人公に寄り添うなんて無理でねえ。
僕が最も忌み嫌う“村意識が根底にある同調圧力を描いた場面”でも彼の味方になれない…と思うほど。ちょっと暴走機関車過ぎるのです。

ただ、主人公を視野に入れなければ。
なかなか面白い設定であり、演出が良いのも事実。

特にロケ地の選定が見事ですね。
思わず「岡山県ヤヴァイ」と言いたくなるリアリティは、ロケハンを頑張った成果。噂によると長野県で撮影したようなので…本当にヤヴァイのは長野県かもしれませんが。

あと、片山慎三監督も携わっているんですね。
観客が不安定になる筆致は相も変わらずでした。周囲の人たちに焦点が当たる最終話の緊迫感はとても良かったです。やっぱり、本作のガンは主人公なんだなあ。

まあ、そんなわけで。
人喰いを題材にした興味深いサスペンス。
自己中心的なヤンキーを忌み嫌う向きには厳しいので「これは最早ギャグなのかも」と振り切った方が良いかも。あと、謎解き要素も皆無なので、その辺りは期待しない方が良いですね。
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