なお

舞いあがれ!のなおのネタバレレビュー・内容・結末

舞いあがれ!(2022年製作のドラマ)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

NHK朝ドラ・第107作。
ヒロインを務めたのは、同じくNHKの教育番組「クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!」の「まいんちゃん」役で高い知名度を誇っていた福原遥。

かつて教育番組でまいんちゃんを演じていた福原さんが岩倉「舞」という少し似たような役名の主人公を演じることになったのは運命の悪戯か、スタッフがあえて狙ったものなのか…

✏️空に恋い焦がれて
…あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!
「”父親の影響でパイロットを志すヒロインの奮闘を描くドラマ”を見ていたと思ったら、”自分が生まれ育った町工場と、その町全体を立て直すため奔走するヒロインの奮闘を描くドラマ”を見ていた」
な、なにを言ってるのかわからねーと思うが俺も何をされたのかわからなかった…なドラマ。

ざっくりした結論からいうと、全編に渡って心温まるし、何より主人公の舞を演じた福原さんの好演が光っていた。
福原さんの演技を初めてきちんと見たけど、これからさらに活躍の場を広げていきそうな女優さんですね。

前述の通り、本作は舞がパイロットを夢見て実際にパイロットになって、その後のパイロットとしての苦難や活躍を描くドラマなのかな…とばかり思っていた。

だがしかし、父・浩太(高橋克典)の急逝をきっかけに舞の運命、そしてこのドラマが向かう先は大きく舵を切ることになる。

この急な”方向転換”、もはや「監督が交代したのか?」と勘違いしそうなほど、人によっては受け入れがたいレベルで作品の内容が変わる。
「パイロットを目指すヒロインのサクセスストーリー」から一転「下町ロケット」のような作風にチェンジ。

自分も初めこそ驚いたけど、割とすんなり違和感のない方向転換の仕方かなぁと感じたので、最後まで飽きずに見ることができた。

むしろ、舞とその母・めぐみがリーマンショックという未曽有の経済危機の中、会社をなんとか存続させるために必死に抗う姿は「人生ハードモード」を絵に描いたようなレベルでつらいシーンだし、当時の世相をよく反映していると思う。

舞を支え続けた二人の母、めぐみ(永作博美)と祥子(高畑淳子)。
個人的にはこのベテラン俳優お二人の存在感と演技力が助演女優賞モノ。
本作を満足度の高いドラマに感じた大きな理由のひとつで、このお二人を語らずして本作を語ることはできない。

☑️まとめ
運命に翻弄され続けたように見える舞だけど、人生の岐路に立たされるたび「つらく・苦しい方の道」を選んだ。

まだ体力がなかった学生時代、懸命にトレーニングを積んで鳥人間コンテストのパイロットを買って出た。
大学を中退し、血のにじむような訓練を乗り越え、夢であったパイロットへの切符をつかんだ。
町工場がピンチに陥ったとき、パイロットになるという夢を捨ててまで工場の再興に尽力した。

一見遠回りにも見えた”航路”だったが、巡り巡って夢を叶えた舞。
まだ体が弱かった幼少期、ばんばに言われた「どがん向かい風にも負けんとたくましく生きるとぞ!」を体現するかのごとく”向かい風”と対峙し、ばらもん凧のように空に舞いあがり続けたのだ。

陸路や海路と違い、その活用法にまだまだ無限の可能性がある「空路」。
我々の世界で「空飛ぶクルマ」は未だ実験段階だが、舞のような高い志を持った開拓者たちが、きっと自由な空への道を切り開いてくれるはず…
そんな明るい未来への期待をも抱かせてくれる作品であった。

<作品スコア>
😂笑 い:★★★☆☆
😲驚 き:★★★★★
🥲感 動:★★★★☆
📖物 語:★★★★☆
🏃‍♂️テンポ:★★★★☆
なお

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