ぬ

9月の朝 ~カサンドラの物語~ シーズン1のぬのレビュー・感想・評価

3.8
念願の新居であらたな人生を送りはじめたトランス女性のカサンドラの目の前に、はじめて会う息子が現れて…というお話。

アマゾンオリジナルってやたらお金かかってて豪華で派手作品も多いけど、こちらは豪華な有名俳優が出たり、お金をかけまくったような派手さはなく、特別に盛り上がる展開もないけど、キャラクターの描き方が丁寧で、俳優さんもみんな演技がうまく、ストーリーもわりと現実的でよかった。
ブラジルが舞台となっていて、あまり知らなかったブラジルの街並みやそこで生きる人々の雰囲気を垣間見れたのも興味深かった。

そういえばUber配達員をしている主人公が出てるドラマ、なかなかないよな。
母親とともに貧しくギリギリな暮らしをし、まだ会ったことのないもうひとりの親を求めて会いに行ったカサンドラからも、しばらく距離を取られて冷たくあしらわれる息子のジョルシーニョが一番気の毒…
ジョルシーニョの寛容さと根気強さ、ちょっとキツいところもあるけど、常にジョルシーニョの見方でいてくれる明るい友人グレイジーに救われる部分が多々。
カサンドラも、ジョルシーニョの母親も、自分たちの生活にかなり苦労しているとはいえ、親としてひどいなという部分も多々あり、そこを隠さず描いているのも、簡単に誰が悪いとか言えない複雑なものにしていてよかった。
カサンドラに失礼なミスジェンダリングをしてくる人たちもいる一方、ホントに当たり前に女性として接している人たちを自然に描いており、トランスであることで過剰に悲劇的な役割を背負わせていないところがよかった。
ぬ