サンタフェ

インベスティゲーションのサンタフェのレビュー・感想・評価

インベスティゲーション(2020年製作のドラマ)
5.0
年末に最高のドラマに出会いました!

デンマークのTV局であるTV2が制作した現実に起こった殺人事件を元にしたドラマです。

このドラマの特徴はなんといっても殺人事件を扱ったドラマなのに最後まで犯人と被害者が劇中に全く登場しないこと。原題「Efterforskningen」はデンマーク語で調査という意味で、まさに調査にフォーカスしたドラマとなっています。日本人であれば有名な「桐島、部活やめるってよ」が思い浮かぶかもしれません。

本作は犯人が登場しない中、主人公である刑事主任(?)イェンスは検察であるヤコブと対決していく形となっています。殺人事件として犯人を起訴したい警部たちですがヤコブはどのように証拠が不十分であるかを説いていきます。もちろんヤコブも検察という立場で犯人を起訴したいと考えており感情的には警部たちの味方ですが、裁判で勝利するためにシビアに証拠が起訴に十分かどうかを判断していきます。

犯人が登場しないことが「調査」と「事実の証明」という本作の魅力に大きく貢献していました。

犯人と被害者が全く登場しないことで、視聴者は犯人と被害者の容姿、話し方、人柄、性格といったキャラクターに対しての感情を持つことがなく、あくまでその行為がいかに残虐であり許されないことであるかにフォーカスできました。また憎き殺人者であるというゴールを知ってしまっている刑事たちの立場で作品を観ている我々も、事実の証明なしには人を殺人者に仕立て上げることはできないという理性を思い出させてくれます。

本作の監督であるTobias Lindholm氏は犯人を登場させない理由は犯人ではなく事件を調査した人々にフォーカスをあてたいという狙いがあったそうですが、まさにその狙いが成功しているように思います。

作中の調査もとにかく科学的で各分野の専門家が集まって一つ一つパズルを解いていくかのような展開は爽快でした。
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