ウシュアイア

スキップとローファーのウシュアイアのレビュー・感想・評価

スキップとローファー(2023年製作のアニメ)
4.2
勉強はできるが少し抜けている能登半島の過疎地出身の岩倉美津未はT大学に進学して官僚になるべく、東京に住むトランスジェンダーの叔母ナオちゃんのもとに身を寄せ、東京の進学校に進学して、時に失敗しながらも持ち前の素直な性格で周囲の友人たちと交流していくハートフル学園ドラマ。

こちらもFilmarksのフォロイーさんたちの熱いレコメンドで出会った作品。

主人公岩倉美津未は過疎地域の密なコミュニティの中で育ったまっすぐな少女で、成績優秀ながらも入学式初日やらかした失敗を機に、少し影がありながらも他の女子生徒から熱い視線を集める都会的な雰囲気をもつイケメン・志摩聡介とお近づきになる、という少女漫画的なスタートを切りながら恋愛に偏りすぎずに丁寧に人間模様を描いた作品。

美津未のキャラデザも三白眼で決して美少女には描かれておらず、地味目な見た目であるが、飾らない性格で、少し屈折した感情をもった都会育ちの同級生たち打ち解けていく。このあたりの空気感は『ホリミヤ』に、また一方で、地方のほのぼのとしたエピソードや美津未の抜けている感じからくるコメディのテイストとはは『ちびまる子ちゃん』に通じるものがある。

最初は聡介狙いで美津未に近づいてきたミカやルッキズムに振り回されることに嫌気がさした洗練された美少女の結月などの内面はかなり丁寧に描かれている。

男女両方向けの青年誌掲載の漫画が原作の作品ということもあって、少女漫画以上にストライクゾーンが広くとられている作品なので、老若男女問わず楽しめる。

とはいえ、全体として主人公周辺の恋愛の展開をゆったりさせているとはいえ、少女漫画という印象は抜けない。
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