ガルベス

平家物語のガルベスのレビュー・感想・評価

平家物語(2021年製作のアニメ)
4.5
諸行無常、「驕る平家は久しからず」をきっちりと体現。

主役はオリジナルキャラのびわという少女なのだが、琵琶法師の娘で他者の行く末を見ることができてしまう特殊な力があるという設定。

平家に虐げられた過去を持ちつつも、ひょんなことから拾われる平重盛とその子供達と暮らし始めることで、次第に彼らに感情移入し始めていく。

父・清盛の圧政により民衆の反感を買い、後白河法皇と父との板挟みとなり疲弊する重盛の悲哀、後に安徳天皇の母となる徳子の悲劇、小心ながら心優しき維盛の変節、笛の名手だった清経の最期などが描かれるが、滅び行く平家の未来が見えてしまうびわは何もすることができず狂言回しの傍観者的な立ち位置であるがゆえに、ただひたすらに切なさが募る。

OP、ED曲が共に素晴らしかった。

子供達が主人公で、世界の命運をなぜか委ねられたりだとか、そう言った日本のアニメ仕草に食傷気味だったので、古典と向き合い普遍的な価値を掘り起こしつつもイマジネーションの豊かさも両立させた本作の試みに感服。大傑作。
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