ウシュアイア

進撃の巨人 The Final Season 完結編(後編)のウシュアイアのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

細かいところは省くが、『進撃の巨人』のあらすじはざっとこんなところだろう。

ある日突然、正体不明の巨人の脅威から守るための大きな壁が壊され、人類と巨人との戦いが激化する中、家族を巨人に殺され巨人と戦う調査兵団に入隊した主人公のエレンは巨人との戦いの中で、自身が巨人となって襲来する巨人たちに対抗できる力をもつ存在であることに気づく。

巨人との戦いの中で、巨人はもともとは人間だった生物兵器であり、壁の中の人類の中に巨人を操る存在がいることが示唆される。壁の外の巨人に対抗する力を得たエレンたちは、壁の外の世界に出ていくことができるようになる。

壁の中にいた人類は、実は巨人になることができる力をもち世界を恐怖に陥れたエルディア人という民族で、エルディア人は贖罪のため一部は壁の中に引きこもり、一部はマーレという国の生物兵器にされていたことが分かる。巨人を統べる力を手に入れたエレンは報復の連鎖を断ち切るために巨人の力を用いてエルディア人以外の人類を殲滅させようとするが、エレンを愛する仲間たちはエレンを殺して企てを阻止し、巨人の力を葬り去ることで物語は終わる。


細かい設定や世界観に少しわかりにくいところもあり、エレンの真意や他の解決策がないものか、などといろいろな考察はなされているが、結局のところ、

バカなやつが力をもってしまったがゆえに人類の8割を踏みつぶしてしまった

という一言に尽きる。

主人公が合理的かつ人道的で賢明な選択をする物語が多いが、実際の人間は必ずしもそうするとは限らず、『進撃の巨人』という物語は主人公のエレンも然りの物語だったというわけだ。現実世界もバカなやつが力をもって世界の脅威になってしまうということだってあり、また力が失われても憎しみや報復の連鎖が続くことだって起きている。力をもったバカは全力で止めなければいけないし、対話による解決の努力はしなければならない。『進撃の巨人』はそんな人間のありようを描いた作品に思えた。

WIT STUDIOから引き継いで壁の外の話以降を制作したMAPPAのアニメーションは特に最終決戦の場において圧巻であった。ただし、ストーリー上、登場人物の年齢が上がってしまったとはいえ、キャラクターデザインが大きく変わってしまったのは残念である。

原作から残りの分量がある程度知られているとはいえ、第4期以降、The Final Season Part1、The Final Season Part2,The Final Season完結編前編、The Final Season完結編後編、として「終わる終わる詐欺」を繰り返したのはさすがにイタダケなかった。
ウシュアイア

ウシュアイア