ウシュアイア

パンプキン・シザーズのウシュアイアのレビュー・感想・評価

パンプキン・シザーズ(2006年製作のアニメ)
3.5
戦争により国民は困窮し腐敗が横行する架空の国家で、戦災からの復興を任務とする陸軍情報部第3課、別名パンプキンシザーズの活動を描いた作品。

全24話で、基本的には1~2話で完結する小さな事件が続き、ラストの3話くらいで少し大きな事件で話は終わる。大きな陰謀が示唆され、復興の道筋も国家の問題の根本的な解決にも至っていないため、続編が作られる余地を残して終わっている。

舞台となる国家は上層部まで腐敗が蔓延しているため、陸軍情報部第3課は復興を旗印にしたお飾りにすぎず、軍の中でも窓際の部隊の位置づけなのだが、主人公は貴族の家に生まれ軍歴は箔づけと見なされているものの、ノブレスオブリージュの精神から復興に燃え、実働部隊を指揮するアリス少尉である。アリス少尉が頑張れば頑張るほど他の部隊や部署から煙たがられることもある。正義感に燃える主人公の苦悩とともに、謎の特殊部隊出身のオーランド伍長を中心に国民や兵士の荒廃した心の機微も丁寧に描いており、ヒューマンドラマが中心である。

ミリタリーものではあるが、国家機関に勤める者たちの葛藤を描いている点では『ACCA13区監察課』に通じるものがあるかもしれない。

また、ミリタリーものでもあるので、控えめではあるものの、アクションの作画見ごたえがある。(制作会社は絶頂期のGONZO)

2000年代の作品ということで、キャラデザが少し古めかしく、また主人公の青臭さや伍長の野暮ったさが少し鼻についたが、概ね良作といえる。
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