ぴっつぁくん

ブルーピリオドのぴっつぁくんのレビュー・感想・評価

ブルーピリオド(2021年製作のアニメ)
3.8

【絵を描くまで俺ずっと"透明"だった】

夢を持ったことのある人にガッツリ刺さる青春スポコン美術アニメ。

1話目の視聴者を引き込んでいく力が凄まじい。とてもエモい。
主人公と視聴者が同じ目線でスタートするため、より絵の世界に引き込まれていくように設計されている。


また、美術のことだけでなく高校生という年頃のティーンズの葛藤もしっかりと描かれている。
リアルな名言が多く、綺麗事ばかりではないところも本作の魅力だと感じた。


OPのOmoinotakeの曲もジャジーでめちゃくちゃ作品とフィットしているし、EDは映画のエンドロール調で1つの映画を観たかのような余韻に浸れるし、molー74の曲がしっとりと心に沁みてくる。


「ブルーピリオド」はピカソの「青の時代」というピカソが青系の絵ばかりを描いていた時期が由来となっているとのこと。
ピカソは「青の時代」に友達が死んだことでうつ状態にあったともされていて、そこから「青の時代」は不安を抱える青春時代を指すような言葉としても使われるのだとか。


原作漫画は「月刊アフタヌーン」で連載中。
2022年に舞台化も決定している。




《あらすじ&ネタバレなし感想》

矢口八虎は学校では成績優秀だがタバコや酒も嗜むいわゆる要領のいいヤツ。
見た目は金髪でヤンキーだが誰とでも仲良くなれる。

仲間と深夜までつるんで朝方に帰る日々を繰り返すがどこか味気ない毎日に嫌気が差していた。

タバコを机に忘れ取りに行った際、美術室である1枚の絵に八虎は衝撃を受ける。
それから美術の授業で描いた自分らしさを表現した絵を周りに評価されたことから絵の道にのめり込み、家庭の金銭面に悩みながらも八虎は東京芸術大学を目指すことを決意する…



八虎の絵が何を描いたのかが友達に伝わった瞬間、感動。
伝えたいものを表現し、それがちゃんと伝わったとき、それはもう言葉にならないほど嬉しいものだと自分は思う。
1話目で泣いてしまった。

ちゃんと1話目から金銭面の話をしたりと地に足を付けた所も好感が持てた。


登場人物も魅力溢れるキャラクターばかり。

八虎はガムシャラに絵と向き合う正統派なスポコン主人公。他人の絵の良い所を評価し、周りをよく見ているし本作の主人公にピッタリな性格をしている。


鮎川龍二は主人公と同じ美術部員で男性だが心は女の子。女装をしており、美人で男女からの人気も高い。
訳ありで東京藝大を目指している。
八虎とは仲が良く八虎の前では気が強い。
八虎を絵の世界に誘った1人でもある。
変わり者だが実は色んな悩みを抱えている。


他にも八虎とは正反対の無口で神童キャラの高橋世田介、
八虎の憧れの先輩の森まる、優しい物言いで絵の世界の良さと同時に厳しさを教えてくれる美術部顧問の佐伯先生、関西弁でひょうひょうとした性格の橋田悠、
面倒見が良くいつも元気いっぱいな予備校講師の大葉真由など、キャラ立ちした素敵な人たちが作品を彩っている。


《出演者関係ネタ、作品情報》

八虎役の峯田大夢は声がとても魅力的というわけではないがエモい。
人を引き込む演技が上手い人なんだろうなと感じた。


鮎川龍二役の花守みゆりの声がすごくタイプだった。

森先輩も無名の人のようだがカワボで素敵。

高橋世田介はヒロアカのデクを演じている山下大輝。
すごく暗くて尖ったデクがそこにはいた。笑

佐伯先生役の平野文は初老のような見た目だが包み込むような優しい声が印象的でこの作品の良さを底上げしていたように感じた。
実は「うる星やつら」のラムを演じていた人。

大葉真由を演じていた和優希も低めの声でパワフルで明快な声がとても良かった。
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