ウシュアイア

東京リベンジャーズ 聖夜決戦編のウシュアイアのレビュー・感想・評価

4.5
東京卍會と呼ばれる巨大半グレ組織に元恋人を殺された冴えないフリーターだった花垣武道がタイムリープにより、一介の暴走族に過ぎなかった東京卍會の巨悪化を阻止すべく奮闘するSFサスペンスの第2期。

(!!注意!!以下第1期のネタバレを含む)

8・3抗争、血のハロウィン事件を経て、タケミチは総長のマイキーをはじめとする東卍幹部の信頼を得て幹部の仲間入りを果たす。一方で、二つの事件を裏で仕組んで東卍の勢力拡大に一役買った稀咲鉄太も影響力をもつようになる。本シーズンでは、二つの事件を解決してもなお東卍の巨悪化のきっかけとなる黒龍(ブラックドラゴン)の吸収合併にまつわるエピソードである。

今シーズンはちょっと経緯がややこしい。
血のハロウィン以降の東卍巨悪化のきっかけとされたのは、違法行為ビジネスで資金力のある黒龍を取り込んだことで、頭が切れる稀咲が黒龍を利用し東卍を牛耳るようになるようになったためである。現代で元黒龍勢力を仕切る柴八戒は、兄であり黒龍先代のボス柴大寿を殺してのし上がった人物で、しかも元東卍メンバー。問題の解決の糸口がないままタイムリープしたタケミチは、大寿を殺す前の人あたりのいい八戒と出会い、八戒の大寿殺害阻止がカギになると考え、千冬とともに大寿との関係に悩む八戒に働きかけを始めていくというところから話は始まる。

聖夜決戦編はとにかくSFミステリとしての展開がよく練られていた。八戒はなぜ大寿を殺したのか、なぜ八戒の大寿殺害が東卍巨悪化につながったのか、そしてこの件に稀咲はどう絡んでくるのか、謎が多い上に、視聴者(読者)をミスリードさせて意外な真相にたどり着く展開に加え、マイキーの深い心の闇(問題の核心部分)、秘められた稀咲の因縁も明らかになり、とにかく目が離せなかった。

あとは千冬との友情もかなりエモい。
血のハロウィン編では、千冬はタケミチとは敬愛する場地を追いかける過程での共闘関係に過ぎなかったにも関わらず、未来では千冬が東卍のタケミチ一派の番頭格に収まっていたことにイマイチピンと来なかったのは自分だけではなかったと思うが、その違和感もきちんと払拭されていた。

大寿との対決の詳しい筋は観てない人には観てのお楽しみだが、マガジンのヤンキー漫画がベースでありながら、意外にドラゴンボールやダイの大冒険っぽいと思いませんでしたか?

聖夜決戦編ですべて解決するはずもなく、むしろ闇の深淵が見えてきた感じだ。出番があまり多くなかった黒龍幹部役で竈門炭治郎と虎杖悠仁が起用されていることから、これで出番が終わるはずがない。続編でどう絡んでくるのだろうか。お二人の演技はなかなかの悪役っぷりで素晴らしい。それでも本作のMVPは千冬役の狩野翔さん。聞き取りやすく響くバリトンでのエモい演技が良かった。
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