寺田邪心

輪るピングドラムの寺田邪心のレビュー・感想・評価

輪るピングドラム(2011年製作のアニメ)
4.1
コメントにてネタバレ満点の自己解釈有り。

銀河鉄道の夜、オ●ム真理教、アダムとイブ、村上春樹などなど……
抽象的でメタファーな単語が多く出てきて、まあ全く分からないことは無いが全てを理解するのは難しい。しかしこの作品独特の映像表現や個性が強く、感覚で雰囲気に魅せられて楽しく見ることもできるアニメ。

こういう「おもしろいけど分かりにくい作品」は噛めば噛むほど味が出てくるから後で見返したいと思いやすい。これもそう。最近はそんなアニメ作品が少ないように感じるなぁ。

正直テーマ自体はかな〜り重い。しかし抽象的にして話の骨格をボカしていたり、映像表現をキャッチーにしているから、しんどくなりすぎずに視聴者も見守ることができる作品。というか、たぶんそのために曖昧にしたんだろうなと思う。これが直接的な表現でまっすぐ伝えようとしてたら、見てる側も相当ストレスかかったと思う。うまく噛み砕いてるな〜って感じ。

物語の全貌はあらゆる人物の過去を振り返りながら、じわじわグラデーションのように段々濃くなって判明していく。これも見てる側がしんどくなりすぎない一つの特徴。パズルのピースがバラバラに埋まっていくので、モヤモヤが残る分からない部分も最後まで見れば(ある程度)わかるようになっている。
最初は兄妹三人で仲良く生活してたのに、蓋を開けた時の喪失感はもはや見事。

こういうタイプのアニメは大体好きなことが多いんだけど、感じるだけで終わらすことができず『この描写にはどんな意味が?』と詮索しすぎちゃう悪い癖が出る。
数年後か十年後か……見返す時に自分の解釈を確認しときたいので。
これ以降はコメントにて。
寺田邪心

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